立ち乗りで世界を体感する——株式会社ストリーモの電動三輪モビリティが切り拓く、移動の新しい自由

スタートアップ事例

公開日 

ヒアリング先
ストリーモ株式会社

「移動そのものが、体験になる」——立ち乗り電動三輪モビリティ「ストリーモ」は、免許不要・操作感は直感的・坂道も石畳も安定走行という三拍子を揃えたマイクロモビリティです。株式会社ストリーモは、2輪バイクのRD経験を持つエンジニアが創業したスタートアップとして、「世界中の人々の暮らし・移動を豊かなものにする」ことをミッションに掲げています。

 

1.電動モビリティ:ストリーモの概要と特徴

ストリーモは、前1輪・後2輪の立ち乗り三輪電動モビリティです。最高時速は20km/hで、6km/h12km/h20km/h3段階でスピード制限が設定できます。車両重量はバッテリーを含んで24kg、一充電で約30kmの走行が可能です。折り畳んで普通乗用車のトランクに積載できるため、目的地まで車で行きストリーモで周辺を散策するといった使い方も広がっています。16歳以上であれば免許不要で乗ることができ、対応身長は130200cm、最大許容体重は120kgと幅広い体格の方に対応しています。

このストリーモの安定性を支えているのが、特許取得済みの独自技術「バランスアシストシステム」です。人は加速時に体が前へ傾き、減速時に後ろへ傾くという自然な反応があります。このヒトの動きを前提に0.1mm単位で重心設計を行い、機械が人を制御するのではなく、乗り手の感覚を妨げないよう「支える」設計を実現しました。あえて過制御しないことで、停車時から低速域まで違和感なく乗れる走行感を生み出しています。また、後ろ二輪の三輪構造に加え、車体と前輪が左右に傾く(リーンする)機構を持たせることで、自転車のような自然な操作感を維持しつつ、低速・停止時でも足をつかずに自立することが可能です。この独自のバランス維持機能により、石畳や轍(わだち)・傾斜でも進路や姿勢を乱されにくく、最大登坂可能勾配は21%(急な坂道でも対応)と屋外のあらゆる路面状況で安定した走行が可能です。また、観光地でのレンタルサービスではスマホで申込~電子ロック解除~返却・決済までワンストップで完結できるサービスにも対応しています。

 2.多様な属性の方の利便性向上——ストリーモのインクルーシブ性

ストリーモが大切にしているのは、「年齢や体力を問わず、世界中のすべての人の移動をより豊かにすること」というビジョンです。個人向けユーザーの年齢層を見ると、5070代が実に71%を占めており、若者向けの新しいガジェットとして注目されるよりも、むしろシニア世代の移動手段として高く評価されていることがわかります。

自転車は漕ぐ力が必要で特に坂道で疲弊し、荷物を前かごに積めばフラフラと不安定になる。電動キックボードはキックしながら発進することでバランス取りが難しく高齢者には不安が残る。ストリーモはこういった従来のモビリティとは一線を画す、「バランス取りのストレスから解放される」モビリティです。足を地面につかずに停車できる安定設計のため、信号待ちや一時停止でも転倒の心配をせずに立ち止まることができます。免許返納後の高齢者の方にとっては、クルマに頼らず自分のペースで外出できる安心な移動手段となっており、「自分の歩行能力の減退を感じ、購入を決めた」(70代)「自転車では漕ぐのが面倒で外出を控えることがあったが、ストリーモが来てから外出機会が増えた」(千葉県佐倉市)という声が寄せられています。

運転に慣れてくると、周囲の風景をゆっくり楽しむ余裕が生まれます。立ち乗りになることで視点が自分の身長よりも高くなり、見晴らしがよくなる点も特徴的です。レンタカーの窓越しとは異なり、風や空気・においが直接体に伝わる感覚は、「日常とはかけ離れた体験」として体験者から高く評価されています。

また、多世代が一緒に楽しめるという点もストリーモのインクルーシブ性を象徴しています。23世代のファミリー旅行では、体力の差でシニアが宿に残り、若い人だけで観光に行かざるをえないケースが少なくありません。業務用途においても、大阪・関西万博では消防隊員の巡回・警戒用に特別車両として採用され、重装備を背負った隊員が狭所でも安定して走行できる点が評価されました。

 

3.ツーリズム領域での活用——「移動がアクティビティ」になる新体験

現在、ストリーモは沖縄を中心に20拠点以上の観光施設で導入されています。導入先はグローバルブランドのリゾートホテル、ラグジュアリーヴィラ、アクティビティ事業者など多岐にわたります。ストリーモが観光地でこれほど広く受け入れられている理由は、「移動そのものをアクティビティに変える」という類のない体験価値にあります。レンタカーでは通り過ぎてしまう景色を、ストリーモなら風を受けながらゆっくりと味わえます。自転車のように漕ぐ体力も、自動車の運転免許も不要なため、幅広い旅行者に手軽に提供できます。

【石垣島:アートホテル石垣島 導入事例】観光リゾートの定番であるマリンスポーツに加え、山や自然・鍾乳洞・バンナ公園・ミルミル本舗など島内の多彩なスポットへ気軽にアクセスできる移動手段として導入されました。ホテルから5km圏内の観光スポット巡りや、3km圏内の市街地での買い物にも活用され、連泊者が毎日利用するケースも生まれています。平均利用時間は1回あたり23時間で、「海以外の魅力を発見できた」という評価が寄せられています。

また、坂道への強さはツーリズム展開において大きな武器となっています。最大登坂可能勾配21%という性能により、沖縄・横浜のような坂の多い観光地でも制限なく楽しめます。国立公園内の展望台へのアクセスや、山岳地帯の観光スポットへの移動など、「体力の問題で行けなかった場所」に多くの方が足を踏み入れられるようになるポテンシャルを持っています。導入施設側は、車両のメンテナンスを含めたレンタル形式で手軽に運用できる点も評価されています。

株式会社ストリーモ:https://striemo.com/

コメント

  • 須藤 慎

    記事作成者

    株式会社キャンパスクリエイト・専務取締役・プロデューサー

    本Webサイトの運営担当者です。2005年から、産学官連携や産業振興の業務に携わっています。

    コメント

    今回ストリーモのヒアリングと資料拝見を通じて、「シンプルなアイデアを高い技術で実装することで、誰でも使える移動手段が生まれる」ことを改めて実感しました。停止時でも足をつかずに立っていられる「バランスアシストシステム」は、特許取得済みの独自技術です。車体が左右に傾く機構を持たせながらも自立を可能にする独自のシステムにより、『機械が人を制御する』のではなく『人の感覚を支える』設計を実現した点が、他のモビリティと明確に一線を画しています。この技術的な特徴が直接的に「様々な方の利便性向上」につながっていることも印象的です。個人ユーザーの7割以上が50〜70代というデータは、ストリーモが若者向けのトレンドデバイスではなく、「体力や脚力に不安を感じるようになった方の実際の移動課題を解決している」ことを示しています。免許返納後も自分のペースで外出できる、家族みんなで同じ観光スポットを楽しめる、こうした具体的な価値が、幅広い世代からの支持につながっているのだと感じました。
    ツーリズム領域での活用においては、「移動がアクティビティになる」という従来にない体験価値が光ります。レンタカーでは通り過ぎてしまう景色を風や空気ごと体で受け止めながら散策できる体験は、観光地の新たな魅力発見にもつながります。沖縄で20拠点以上という実績は、実際に観光施設に導入し、ゲストに喜ばれているという確かな証左です。石垣島での連泊ゲストの連日利用、伊勢外宮参道でのバス待ち解消など、導入施設が抱えていた課題を解決しながら新たな収益源にもなっている点は、導入側のメリットとしても十分に評価できます。
    特筆すべきは、最大登坂可能勾配21%という坂道性能です。これにより、沖縄・横浜のような坂の多い観光地でも制限なく活用できるだけでなく、国立公園の展望台付近など「体力的に行けなかった場所」へのアクセスを可能にします。運用面でも月額メンテナンス込みのレンタル形式により、施設側の運用負担を最小限に抑えながら導入できることは、自治体・観光協会・宿泊施設にとって大きな魅力です。観光振興・インクルーシブな移動手段・新しい屋外体験の提供という複数の目的を、一台の乗り物で同時に実現できるストリーモの可能性に、強く期待しています。

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