ARスポーツ「HADO」によるインクルーシブ社会 -次世代スポーツが、教育現場・地域社会に新たな可能性を拓く-

スタートアップ事例

公開日 

ヒアリング先
株式会社meleapマーケティングリーダー 内池 拓也 氏

HADOとは

HADOは、株式会社meleapが開発した、「スポーツ」と「ゲーム」が融合した次世代のARスポーツです。創業者の福田氏が「子供のころから本気でかめはめ波を撃ちたかった」という思いから出発し、現代のAR技術を使ってその夢を形にしたのがHADOの原点です。

AR(拡張現実)技術を用いており、VR(仮想現実)とは異なり、現実世界をそのまま視野に保ちながら、その中にバーチャルの要素を重ねる仕組みです。隣の人も周囲の環境も見えているため、VR酔いや衝突の心配が少なく、安全にプレイできます。プレイヤーは頭に専用ヘッドセット、腕にアームセンサーを装着することで、まるで魔法のようなエナジーボール(光の球)を放ったり、相手のエナジーボールを防ぐシールドを展開したりすることができます。

基本ルールは33のチーム戦。10m×6mのフィールドで、80秒の制限時間内により多くのポイントを獲得したチームが勝利します。プレイヤーは「攻撃(ATTACK)」「回避(DODGE)」「防御(SHIELD)」「チームワーク(TEAMWORK)」という4つの基本動作を組み合わせて戦います。また試合前に、エナジーボールの速さ・大きさ・球数・シールドの強さをチームで設定できる「スキルセット」機能があり、既存のスポーツにはないゲーム的な戦略性が生まれます。

HADOは現在、世界40カ国以上に展開しています。国内でもフジテレビ「ノンストップ!」、テレビ朝日「グッド!モーニング」、TBS「ラヴィット!」NHK「沼にはまってみた」など多数のメディアに取り上げられているほか、週刊東洋経済「すごいベンチャー100」にも選出されています。また教育雑誌では「ユニバーサルスポーツ」として特集されるなど、多方面から注目を集めています。

HADOの用途、メリット、効果

HADOの最大の特長は「誰でも楽しめる」点です。性別・年齢・運動経験・障がいの有無にかかわらず、幅広い方が同じフィールドで対等に競い合えます。ここでは、HADOが持つ3つの大きな魅力とその効果をご紹介します。

運動参加遊び感覚で続く「楽しい運動習慣」

HADOには激しい接触がなく、しゃがんだり避けたりする動きで自然と全身運動になります。ゲームに夢中になるうちに、気づけば汗だくになるほどの運動量が確保できます(反復横跳びとスクワットをしているようなイメージです)。フィットネス代わりに活用している大学ゼミも存在するほどで、健康増進・フレイル予防・運動不足解消への貢献が期待されています。

芝浦工業大学との共同研究では、継続的なHADO活動が上肢・下肢の筋力、歩行能力、柔軟性の統計的な向上につながることが確認されています。楽しみながら「しっかり動ける」ことがデータで示されており、認知機能の維持・予防にも寄与する可能性が示されています。

思考力・判断力戦略的なパラメータ調整と戦況判断

試合前にエナジーボールの速さ・大きさ・球数・シールドの強さを自チームで自由に設定できる「スキルセットシステム」は、既存のスポーツには存在しないHADO最大の特長のひとつです。チームで話し合い、自分たちの得意な戦い方に合わせて設定を決めることで、論理的思考・チーム内コミュニケーション・意思決定力が育まれます。試合中もリアルタイムで状況を判断し臨機応変に対応する力が求められるため、探究学習への活用や認知機能の活性化等にも貢献が期待されます。

協力・連帯勝利に不可欠な「声かけ」と「連携」

33のチーム戦では、個人の能力以上にメンバー同士の連携が勝敗を左右します。「今攻めよう!」「守って!」といった声かけが自然と生まれ、他者と協調する力が育まれます。試合前の作戦会議、試合中の声かけ、試合後の振り返りという一連の流れが、コミュニケーション活性化・チームビルディング・多世代交流を促します。

HADOがなぜ「誰でもできる」のか

HADOはスキルセットシステムで子どもの腕でも速いエナジーボールが出せるよう調整できることから、体力差・年齢差・運動経験の差を技術で補うことが可能です。英語対応のルールブックも完備されているため、国籍の壁もありません。実際の体験者からは「スポーツが大嫌いな私でも初めて面白いと思えた」「年齢を問わない、運動神経も問わないスポーツだった」「久しぶりにこんなにも体を動かす楽しいゲームがあるのかと思った」などの声が寄せられています。

HADOの教育機関、自治体用途での利用方法

教育機関での活用

HADOは学校現場において、体育・探究・ICT・部活動など多彩な形で活用されています。

授業での活用(体育・探究・ICT

体育の授業では、男女共修・チーム戦略・運動分析・空間認識などを学ぶ教材として活用できます。探究授業ではデータ分析や戦術立案・発表へと発展させることが可能です。ICT教育においては最先端技術の理解・操作体験・可能性考察の場となります。実際に静岡西高校では体育の授業として7単元にわたり継続活用された実績があるほか、大阪市内の小学校でも体育授業に取り入れられています。また教育委員会レベルで購入し、地域内の複数の学校で活用するケースも生まれています(滋賀県など)。

インクルーシブ教育への貢献

HADOは障がいの有無・性別・年齢にかかわらず、全員が同じ条件でプレイできます。「腕を動かせば誰でもエナジーボールを出せる・シールドを張れる」という設計により、運動が苦手な児童や特別支援が必要な子どもたちも積極的に参加することができます。既存のドッジボール等では「ボールを拾っても得意な子に渡してしまうだけで自分は参加している実感が薄い」というケースも多いですが、HADOでは全員が主役として参加でき、自己有用感や自己効力感の向上が期待できます。

東京理科大学と特別支援学校が連携してHADOを活用した事例や、健常者と特別支援の子どもが一緒にプレイした実践報告も数多く存在します。また、2025年東京デフリンピック「みるTech」への出展では、AR×振動テクノロジーを活用した「聴覚に頼らない」ユニバーサルな体験を実現し、新たな可能性を示しました。さらに、不登校ぎみの子どもがHADOをきっかけに学校行事に参加するようになるなど、出席率の改善や集団参加意識の向上への貢献も報告されています。

部活・校外学習・学校行事での活用

HADOを部活動として導入する学校も増えており、全国大会を目指す競技としての活用も可能です。運動部と文化部の要素を兼ね備えた「新部活動」として、これまで部活になじめなかった生徒にも新たな居場所を提供します。また修学旅行や校外学習においてHADO専用施設(お台場・ソラマチなど)を訪問するプログラムも人気で、体験しながらARの仕組みを学ぶ教育コンテンツとしても機能しています。

自治体での活用

HADOは自治体が抱える多様な課題に対して横断的にアプローチできる「新ARスポーツ拠点」として注目されています。人口減少・高齢化・施設の低稼働・デジタル格差・財政制約といった共通課題に対し、教育改革・健康増進・DX推進・防災強化という4つの機会を同時に創出できる点が特長です。

健康増進・地域コミュニティの活性化

年齢や体力差を問わない「楽しく続く」運動習慣の形成に寄与します。「やさしい運動回(週1回)」「世代交流回(月1回)」のような継続プログラムを通じ、子どもからシニアまでが同じ空間で交流することで、高齢者の社会的孤立緩和や地域の見守り機能強化にもつながります。

施設の有効活用

体育館・公民館・商業施設の空きスペース・空き時間帯への導入が可能です。常設・半常設(出し入れ容易)・移設(複数施設を巡回)という3つの設置形態に対応しており、施設の稼働率向上・閉散期の活性化にも貢献します。最小スペースは4m×8m、電源さえあれば体育館・会議室等で実施できるため、既存施設をそのまま活用できます。

観光・関係人口の創出

HADOを核とした教育旅行・体験イベント・スポーツ大会の開催により、地域外からの来訪・再訪を促進し、飲食・物販・宿泊への波及効果も見込めます。都市部での実施事例では来場者アンケートで「次回も参加したい」との回答が95.8%を記録しており、継続的なファン・関係人口の創出につながっています。

DX推進と防災拠点への活用

HADOの体験をきっかけにデジタル技術への抵抗感を軽減し、行政手続きのオンライン化やデジタル市民サービスの利用率向上など、自治体DX施策全体への波及効果が期待されます。また、ARの体験スペースは障害物のないオープンなレイアウトのため、非常時には物資の格納場所や避難所への転用も容易です。平時から住民に親しまれた場所であることで、緊急時の避難所としての認知度も高まります。

株式会社meleap

https://meleap.com/

HADO:
https://hado-official.com/

コメント

  • 須藤 慎

    記事作成者

    株式会社キャンパスクリエイト・専務取締役・プロデューサー

    本Webサイトの運営担当者です。2005年から、産学官連携や産業振興の業務に携わっています。

    コメント

    HADOについては以前から名前を耳にしたことはありましたが、今回のヒアリングを通じて、世界40カ国以上への展開やHADO WORLD CUPの開催など、ここまでの広がりを見せていることに改めて驚かされました。老若男女、健常者・障がい者、国籍の違いを問わず等しく楽しめるARスポーツとして進化し続けていることが、非常に強く印象に残りました。
    ゲーム感覚で体を動かすうちに自然と全身運動になり、芝浦工業大学との共同研究でも筋力・歩行能力・柔軟性の統計的な向上が確認されているなど、健康増進・フレイル予防・運動習慣の形成に役立つという社会的意義も非常に感じました。体育館や公民館などの空き時間・空きスペースを有効活用できる点も実用的で、チームメンバーがともに楽しむことによるコミュニケーション活性化やチームビルディング効果の大きさも実感できます。
    今回は特に自治体・教育機関での用途を中心にお話を伺いました。体育授業・インクルーシブ教育・不登校児童への参加促進・修学旅行や探究学習との連携など、その活用の幅の広さに目を見張りました。特別支援が必要な子どもと健常者が同じフィールドで対等に楽しみ、自己有用感・自己効力感を育める場を提供できるという点は、HADOというサービスそのものがインクルーシブである証だと強く感じます。既存のスポーツではどうしても得意な子が活躍し、苦手な子が疎外感を感じてしまいがちですが、HADOはその壁をテクノロジーの力で取り除いています。
    産業振興・地域教育・障がい者支援・健康促進・防災拠点の活用など、多様な観点からこのサービスを検討していただくことで、地域の課題解決に新たな可能性が生まれると思います。まずは体験会やイベントからのスモールスタートも可能ですので、自治体・教育機関の皆さまにぜひ一度体験していただきたいと思います。

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