スマホひとつで「道案内」と「障害物検出」――視覚障がい者の歩行を支えるアプリ「Eye Navi」
公開日
- ヒアリング先
- 株式会社コンピュータサイエンス研究所営業企画・企画開発統括部長 髙田 将平 氏
Eye Navi(アイナビ)は、iPhone一台で目的地までの道案内と、進路上の障害物・歩行者信号の色・点字ブロックなどの検出を行い、その情報を音声で知らせる視覚障がい者向けの歩行支援アプリです。AIによる画像認識と経路案内、歩行レコーダー機能などを備え、「誰もがどこへでも自由に楽しく移動できる社会」の実現を目指して、コンピュータサイエンス研究所が開発・提供しています。
1.Eye Naviが解決する社会課題
視覚に障がいのある方が一人で外出することには、今も多くの制約があります。通勤・通学・営業活動などでは同行援護(ヘルパーによる外出支援)を基本的に利用できず、支援する人材そのものの数も不足しています。そのため、自力での移動が難しい場合には社会活動が制限されてしまう、という現状があります。
盲導犬も有力な選択肢ですが、盲導犬が伝えられるのは主に角・段差・障害物の存在であり、目的地までの経路は利用者自身が記憶しておく必要があります。歩行者信号の色も判別できません。さらに、その盲導犬の頭数自体も年々減少傾向にあるとされ、利用を希望しながら待っている方も少なくないと言われています。Eye Navi は、こうした「一人で歩く」ための情報を補い、外出のハードルを下げることを目指したアプリです。
インタビューでは、特に交差点の横断が大きな不安要素として挙げられました。歩行者信号の色が分からない、音響式信号がすべての横断歩道にあるわけではなく、設置されていても夜間は停止してしまうことがある――そうした状況下では「ある意味、命がけで渡っている」方も多いといいます。信号の色が分かることは、利用者から特に重宝されている機能の一つとされています。
2.Eye Naviの機能および搭載している技術
Eye Navi の中心となる機能は、大きく「AIによる障害物・目標物の検出」「視覚障がい者に寄り添う経路案内」「歩行レコーダー」の三つです。
障害物・目標物の検出には、自転車・車・点字ブロック・横断歩道・歩行者信号の「赤」「青」・縁石・ポールなど、計20種類の物体をリアルタイムに検出し、音声(一部は振動)で知らせます。このAIは、東京都立大学の馬場教授と共同開発したデータセットを用いています。 
経路案内では、地図アプリのように目的地までの道案内ができるほか、自宅や複数の目的地を登録しておけます。特徴的なのは、歩き始める際に体の向きを案内する「方向確認」機能です。iPhone内蔵のコンパスを使い、「正しい方向です」「右方向を向いてください」などと知らせるもので、最初にどちらへ進めばよいか分からないという課題に応えた、Eye Navi ならではの機能とされています。
歩行レコーダーは、自動車のドライブレコーダーのように歩行時の映像を端末内に自動保存する機能です。ぶつかられてけがをした、点字ブロック上の自転車を倒してしまった、といったトラブルの際に、記録を残せるようにと用意されました。
歩行レコーダー機能のイメージ。歩行時の映像を自動で記録する
利用にあたっては、iPhoneの背面カメラが前を向くようにして使う必要があるため、白杖や盲導犬で両手がふさがらないようにネックポーチを利用するなどハンズフリーでの利用が推奨されています。 
3.Eye Naviの利用場面
Eye Navi は日本全国で利用でき、屋外の点字ブロックがある場所での利用が推奨されています。想定される利用者は、弱視・全盲を問わず、単独歩行ができ、iPhoneを操作できる方です。より安心して使うための機能として、月額1,000円(最初の14日間は無料)のプレミアムプランも用意されています。毎回同じ慣れた道を通りたいというニーズに応える「マイルート作成」、家族や支援者に位置情報を共有できる「見守り」、撮影した写真の情景を説明する「AIチャット」、映像に加えて音声も保存できる歩行レコーダー、目的地登録件数の拡大(20件→100件)、日常生活の物損などを補償する歩行保険などが利用できます。歩行保険では、破損しやすい白杖(1本あたり約3万円とされる)も携行品損害の対象に含まれます。
4.Eye Naviの利用者の声
利用者から次のような声が紹介されています。
- 外出時には常に起動して使っていて、使わないと不安になるほど頼りにしている。
- 以前は3種類のアプリを切り替えながら移動していたが、今は Eye Navi がなくてはならないものになっている。
- 進む方向が「正しい方向です」と確認できるので安心感がある。
お問い合わせ
株式会社コンピュータサイエンス研究所(Eye Navi 提供元)
公式サイト:https://www.eyenavi.jp/
コメント
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本Webサイトの運営担当者です。2005年から、産学官連携や産業振興の業務に携わっています。
コメント
屋外には点字ブロックが設置されていますが、より安全・安心な交通が実現できる余地があることを、今回のインタビューを通じてよく理解できました。横断歩道の移動を代表に、リスクや不安感はどうしてもぬぐえないものであり、その解消に役立つことに社会貢献性を感じました。安全なルートを設定できることなど、当事者の立場に立った設計になっているとも思いました。そして、プレミアムプランも低価格ながら、より安心な生活・移動に役立つと感じました。
無料プランもありますので、まずは多くの方に知っていただき、共感・活用・応援いただくことが、インクルーシブな社会づくりにそのまま役立ちます。読者の皆様におかれましては、ぜひ口コミで関心がある方にご紹介をいただけると嬉しく思います。このコメントと投稿者はデジタル証明書(VC)によって真正性が保証されています。
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須藤 慎
記事作成者
株式会社キャンパスクリエイト・専務取締役・プロデューサー