ゴミ箱を社会インフラへ。日本の街のポイ捨てゴミ「ゼロ」を目指すスマートゴミ箱「SmaGO」
公開日
- ヒアリング先
- 株式会社フォーステック業共創室 森下 優利奈 氏
日本の観光地や繁華街で、ゴミ箱の不足が課題になっています。食べ歩きやテイクアウト需要の増加、観光客の増加により、街なかで発生するゴミの受け皿が足りず、ゴミの散乱やポイ捨てに繋がるケースも少なくありません。こうした課題に対し、株式会社フォーステックは、スマートゴミ箱「SmaGO」の展開を通じて街なかのゴミ問題にアプローチしています。
SmaGOは、ソーラー発電、自動圧縮、クラウド通信機能を備えたスマートゴミ箱です。同サイズのゴミ箱の約5倍のゴミを収容でき、ゴミの蓄積状況を遠隔で確認できるため、ゴミ溢れの防止や回収業務の効率化につなげることができます。
フォーステックは、オーバーツーリズムに伴う観光地でのゴミ問題など、日本各地で顕在化する課題に対し、自治体や企業、地域と連携しながらSmaGOの設置を広げることで解決を目指しています。
1. 株式会社フォーステックが目指すこと
株式会社フォーステックは、「循環する力を。」を理念に掲げ、街や海のゴミ問題をスマートゴミ箱などのテクノロジーで解決することで、資源循環型の持続可能な社会の実現を目指す企業です。ゴミ箱を入口としながら、最終的な資源循環の促進まで幅広く取り組む事業を展開しています。
日本の街なかには諸外国と比較してゴミ箱が少なく、観光地や繁華街でのゴミ箱の不足がゴミ溢れやポイ捨ての増加につながっています。観光庁の調査でも、訪日外国人の「旅行中の困りごと」として「ゴミ箱の少なさ」が第1位に挙げられており、ゴミを適切に捨てる環境をどう整備していくかが問われています。
そこでフォーステックは、従来のゴミ箱の課題をテクノロジーで解決するスマートゴミ箱「SmaGO」の展開を通じて、日本のゴミ問題の解決に取り組んでいます。同社は、企業協賛をはじめとする、ゴミ箱の設置コストを抑える多様なスキームを整備することで、自治体・商業施設・商業施設など幅広い導入先への普及を推進しています。
2. SmaGOの3つの機能
SmaGOは大きく3つの機能を中心に、従来のゴミ箱では対応しきれなかった課題にアプローチします。
① ソーラー電力で稼働——電源不要で環境に配慮した省エネ設計
SmaGOは本体上部のソーラーパネルで発電して稼働します。特許技術により、1日の日照時間(8時間)で3週間作動します。屋外設置においては外部電源が不要で、環境負荷を抑えながら街なかへの設置が可能です。なお、屋内や日当たりの悪い場所など、ソーラー発電による稼働が難しい場所では、AC電源での給電にも対応しています。
② ゴミを自動で約5分の1に圧縮——ゴミ溢れの防止と回収回数削減
ゴミが溜まると自動的に圧縮し、同サイズのゴミ箱の約5倍(約570リットル)のゴミを収容できます。これにより、従来の課題であったゴミ溢れを防ぐとともに、回収頻度を大幅に削減することができます。
③ クラウドでゴミ量を管理・分析——効率的な回収業務の実現
各ゴミ箱のゴミ蓄積量をクラウド上で確認できます。満杯になる前に管理者へ通知する機能もあり、従来のようにゴミ量の確認のために現場へ足を運ぶ必要がなくなります。また、ゴミ投入回数・回収回数・総回収量などを統計的に管理・分析することも可能で、回収ルートや頻度の最適化に活用できます。
蓋付きの完全密閉型で手を入れられない仕組みになっているため、においが漏れにくく、動物がゴミに触れることもありません。また、フットペダルを採用しており、手を触れず衛生的に蓋を開けることができます。
また、分別表記においては多言語表記やピクトグラムを採用しており、外国人旅行者や多様な利用者が正しく分別できるよう配慮されています。)
3. SmaGOの主な活用シーン
① 観光地・商店街——ゴミ溢れ・ポイ捨ての防止
観光客が多く集まる観光地や商店街では、食べ歩きや外出中に発生するゴミの受け皿が不足しがちです。SmaGOは収容量が大きく、回収頻度を抑えられるため、人通りが多いエリアでも安定した運用が可能です。多言語での分別表記やピクトグラムを掲載することで、訪日外国人にとっても分別方法がわかりやすく、利用しやすい環境づくりをしています。
② 駅・パーキングエリア——人流の多い場所でのゴミ回収負担減
ターミナル駅やパーキングエリアのように多くの利用者が行き交う場所では、ゴミ回収作業の負担が大きく、人手不足が大きな課題となっています。SmaGOの導入により、清掃スタッフの回収作業回数を削減しながら、利用者にとっても利便性の高い環境を維持することができます。例えば、JR松本駅ではホームおよびコンコースへの設置が行われています。
③ スタジアム・商業施設・公園——イベント時の集中ゴミに対応
スポーツスタジアムや大型商業施設、公園のような場所では、特定の日時に集中的にゴミが発生します。SmaGOの圧縮機能と大容量の収容力は、こうした集中的なゴミ発生にも対応できます。現在、東京ドームシティや渋谷・MIYASHITA PARKをはじめとする施設に導入されています。なお、お祭りや音楽フェスティバルなどの期間限定イベントにはレンタルプランで設置することも可能です。
4. 導入事例と導入効果
①表参道・原宿エリア(東京都)
2020年10月より、表参道駅から原宿駅にかけての沿道に13カ所・34台が設置されています。現在は日本特殊陶業株式会社の協賛を受けて運用されており、ヘラルボニー社が契約するアーティストのアート作品をラッピングに採用することで、彩り豊かで多様性を讃える街づくりに貢献しています。
【設置効果】
ゴミ箱から溢れて散乱していたゴミがほぼゼロになりました。また、ゴミの回収頻度が1日3〜4回から1回(約70%減)に削減され、分別率も向上しています。
②広島市内(広島県)
2022年10月、瀬戸内海に流れ出るプラスチックゴミを街で食い止めることを目的に、広島県にゆかりを持つカルビー株式会社の協賛を受け、広島市内の既存のゴミ箱をSmaGOへ置き換えるプロジェクトが実施され、4カ所・12台が設置されました。
【設置効果】
導入後は、ゴミの散乱が見られなくなり、回収回数が週7回から3.5回(50%減)へと大幅に削減されました。その効果が評価され、現在広島県内でのSmaGO設置が続々と広がっています。
③大阪・道頓堀(大阪府)
食べ歩き文化が盛んな大阪・道頓堀エリアでは、もともとゴミ箱が設置されていなかったため、ポイ捨てゴミが大量に発生していました。大阪万博に向けた取り組みとして、観光庁の補助金「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」を活用して2023年11月から10カ所・20台の運用が開始されました。
【設置効果】
ポイ捨てゴミ(吸い殻を除く)が約90%削減され、ゴミ回収作業回数の削減にともないCO2排出量も削減されました。この設置効果を受け、隣接する商店街への追加設置も決定しました。
④京都市内(京都府)
世界中から観光客が集まる京都市では、企業版ふるさと納税(最大実質90%の税額控除)を活用し、京都にゆかりのあるさまざまな企業からSmaGOが寄贈されています。現在観光スポット付近を中心に17カ所・34台が設置されており、官民連携によってSmaGOの整備が進んでいます。
【設置効果】
祇園周辺では、お花見シーズンの定点観測により、SmaGOへの置き換え前後で同一時間帯・同一場所のゴミ溢れがほぼゼロになったことが確認されています。
5. 導入コストを抑える様々な導入スキーム
SmaGO導入にあたっては、費用負担を抑えてゴミ箱を設置しやすくするための様々なスキームが用意されています。
- 企業協賛モデル:理念に共感する企業との共創プロジェクトとしてSmaGOを設置。協賛費用をゴミ箱購入費・運用費に充てることで、ゴミ箱の設置コストを下げることができます。
- 補助金の活用:SmaGOの設置は、国土交通省観光庁「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」や環境省「ごみのポイ捨て・発生抑制対策等モデル事業」、東京都「TOKYOクリーンアップムーブメント」等の補助金の対象です。これらを活用することで、導入費用を抑えることができます。。
- 企業版ふるさと納税の活用:企業が最大実質90%の税額控除を受けながら地域にSmaGOを寄贈することができます。ゆかりある地域の課題解決に目に見える形で貢献できる、企業のCSR活動としても注目されているスキームです。
- レンタルプラン:期間限定のイベントでは短期レンタルを利用することができます。
まとめ
SmaGOは「ソーラー稼働」「自動圧縮」「IoTによる通信管理」という3つのコア機能により、ゴミ溢れの防止・回収コスト削減・運用効率化を同時に実現するスマートゴミ箱です。オーバーツーリズムや人流増加に伴うゴミ問題への対応が急務となる日本において、社会インフラとしての街なかのゴミ箱を再構築するソリューションとして広がりを見せています。
また、企業協賛・補助金の活用・企業版ふるさと納税の活用・レンタルといった多彩な導入スキームで設置や運用にかかる費用負担を抑えることにより、自治体・商業施設・商店街など幅広い設置主体が導入しやすい環境が整えられています。「必要な場所に、必要な数のスマートゴミ箱を」というビジョンのもと、街のポイ捨てゴミを減らし、海洋ゴミをゼロに近づける社会の実現へ、フォーステックは着実に歩みを進めています。
株式会社フォーステック(SmaGO公式サイト):https://smago.jp/
コメント
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本Webサイトの運営担当者です。2005年から、産学官連携や産業振興の業務に携わっています。
コメント
ヒアリングを通じて強く実感したのは、「ごみ箱が少ないこと」が外国人旅行者の困りごとの上位に挙がるほど課題が明確であるにもかかわらず、社会インフラとして十分に応えられていない現状です。課題が見えているのに解決できていないギャップを認識したことで、SmaGOの製品価値がより一層腹落ちしました。
SmaGOは、ソーラー稼働と自動圧縮によってごみ溢れを抑え、IoTで蓄積量を把握して回収を最適化することで、設置側が抱える運用負担とコストの壁を現実的に下げていきます。
仕組みも費用帯効果も非常に分かりやすいことが特徴的だと思います。観光地や駅、イベント会場のように人流が集中する場所ほど効果が出やすく、街の清潔感や体験価値に直結する点も重要です。
面白いと感じたのは、SmaGOが広告媒体として活用できるだけでなく、多言語ピクトグラムや障がい者向けの表現など、用途や場所に応じて自由に企画・工夫できる器になっていることです。観光客の利便性向上にとどまらず、地域住民の日常の使いやすさ、設置場所の特性、設置意図(景観形成、ポイ捨て抑止など)に合わせて、インクルーシブな設計を積み上げていける余地があります。
SmaGOは、これからの観光立国・地域づくりにおいて、オーバーツーリズム対策という文脈からも、非常に重要な都市インフラだと感じました。このコメントと投稿者はデジタル証明書(VC)によって真正性が保証されています。
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須藤 慎
記事作成者
株式会社キャンパスクリエイト・専務取締役・プロデューサー