「困ったらスマホでピッ」――要配慮者と店舗・駅をつなぐ合理的配慮アプリ「SodeEn」

スタートアップ事例

公開日 

ヒアリング先
株式会社袖縁代表取締役 友枝 敦

SodeEnは、視覚障害や車椅子の利用者、ベビーカー利用者などの要配慮者が、外出先で困ったときにスマートフォンを操作するだけで、その場の駅員や店員といった事業者スタッフにつながる「どこでもインターホン」アプリです。利用者一人ひとりの特性や希望する対応をまとめた「トリセツ」が通知とともにスタッフへ届くため、対応に不慣れなスタッフも落ち着いて応対でき、2024年に全事業者へ義務化された合理的配慮の提供を、現場で具体的に支える仕組みとして提供されています(現在β版)。

1.サービスが生まれた背景――「表明」のハードルと社会のサポート

改正障害者差別解消法により、20244月から民間を含む全事業者に「合理的配慮の提供」が法的に義務付けられました。合理的配慮は、障害のある人からの配慮を求める意思の表明を起点に、建設的な対話を通じて、過重な負担にならない範囲でバリアを解消していく取り組みです。

しかし、その出発点である「表明」自体が難しい場面は少なくありません。視覚障害のある人はスタッフや案内、インターホンの場所を見つけにくく、車椅子の利用者はそこまで移動すること自体に負担を感じます。聴覚障害のある人にとっては、いきなりのやり取りがハードルになります。さらに、外出のたびに自分の障害を説明し続けることに負担を感じる利用者もいれば、どう対応してよいか分からず戸惑うスタッフもいます。SodeEn は、こうした「表明のしづらさ」と「対応のしづらさ」の双方を和らげるサービスです。

2.アプリの仕組み――「どこでもインターホン」と「トリセツ」

SodeEn の中心となる機能は、利用者の居場所に応じて適切な事業者スタッフへつながる「どこでもインターホン」です。利用者が困ったときにアプリ上のボタンを押すと、導入施設のスタッフに呼び出しが届き、ビデオ通話や音声通話、文字通話で対応を受けられます。通話方式は状況に応じて切り替えることもできます。

リンク:https://www.sode-en.net

呼び出しと同時に、利用者があらかじめ登録した「トリセツ」がスタッフ側に表示されます。トリセツには、その人の特性や、どのような手助けを望むかが記載されており、スタッフは内容を確認したうえで応対できます。アプリには施設のマップ表示やバリアフリー状況の確認といった機能も用意されています。事業者側は、この仕組みを「どこでもインターホン」として導入しておくことで利用できるようになります。

3.当事者の声に基づく設計――多様な「好み」への対応

サービスの設計にあたっては、視覚障害のある人を対象に、外出時の49の場面について「どの程度この仕組みがほしいか」を5段階で評価する調査が行われました。その結果、すべての場面で「絶対にほしい」という声が一定数ある一方、同じ場面でも「ほしい」という人と「かえって逆効果」と感じる人がいるなど、評価が大きく分かれることが分かりました。

「いつも困っているわけでも、可哀想な存在でもない」という当事者の声もあり、画一的な声かけが負担になる場合もあります。そこで SodeEn は、本人の希望をまとめた「トリセツ」と、手助けが必要なときに自ら呼び出せる仕組みを組み合わせ、一人ひとりの「好み」に沿った対応ができるよう設計されています。

 

お問い合わせ

株式会社袖縁 公式サイト:https://www.sode-en.net