「インクルーシブ・コミュニケーター」 多様性を組織の力に変える実践的資格

インクルーシブ推進・支援団体の取り組み

公開日 

ヒアリング先
公益財団法人日本ケアフィット共育機構経営企画室 室長 佐藤 雄一郎 氏

日本ケアフィット共育機構とは

公益財団法人日本ケアフィット共育機構は、年齢や障害の有無に関わらず誰もが暮らしやすい共生社会の実現目的として設立された財団法人です。高齢者や障害のある方を安心してサポートできる人材を育成するための「サービス介助士」資格は全国24万人、1000社の企業が取得・導入しており、共生社会の担い手育成に寄与しています。

ユニバーサルデザインやバリアフリーの観点からお客様への対応力向上という「組織の外側のDE&I」を推進してきた機構が、「組織の内側のDE&I」推進に向けた課題解決に挑むべく開発した資格が「インクルーシブ・コミュニケーター」です。

▶ 日本ケアフィット共育機構 公式サイト:https://www.carefit.org/

インクルーシブ・コミュニケーターとは 取り組む意義

インクルーシブ・コミュニケーターとは、組織にある多様性を組織の変革につなげる実践的な資格です。「多様な人が活きるチーム作り」「多様な違いを力に変える環境変革」「多様な力を引き出すコミュニケーション」の3つを柱として、個人のスキルアップにとどまらず、チームや組織全体の変革を促す内容となっています。

現代組織が直面する課題

近年、多くの組織が以下のような課題を抱えています。

  • メンバーから意見やアイデアが出にくい(心理的安全性の低さ)
  • 離職率の上昇・人材定着の困難
  • ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)推進の停滞
  • 価値観の多様化への適応困難

こうした課題の背景にあるのは、「多様性を知る・理解する」にとどまっていた従来のDI研修の限界です。インクルーシブ・コミュニケーターは、個人の意識変容だけでなく、制度・文化・チームづくりまで包括的にコミットする点で、従来の研修と大きく異なります。

インクルーシブトランスフォーメーション(IX)という概念

同機構は、組織の多様性を実践的に活かす変革プロセスを「インクルーシブ・トランスフォーメーション(IX)」と定義しています。IXとは単なる多様性の受容ではなく、「違い」を競争力・組織力へと転換していく継続的な変革の取り組みです。本資格はこのIXを組織内で推進できる人材の育成を目的としています。

また、人的資本経営が重視される昨今、統合レポートへの対応はもちろん、「働く人の価値観や生き方の多様性」を加味した組織運営の必要性が高まっています。インクルーシブ・コミュニケーターは、こうした時代の変化に対応するための実践的な指針を提供します。

▶ インクルーシブ・コミュニケーター 詳細:https://www.carefit.org/ic/

インクルーシブ・コミュニケーターで学べること

本資格では、インクルーシブ・トランスフォーメーション(IX)を実現するための5つの要素を体系的に学びます。東京大学先端科学技術研究センター教授・近藤武夫氏(心理学博士)の監修のもと、インクルーシブな職場づくりの研究知見に基づいて設計されています。

IX5つの要素

  • パーパスの浸透と共感 —— 組織としての存在意義(なぜ自分たちが存在するのか)を全員で共有し、多様なメンバーが一体感を持って動けるようにします。
  • 多様性を活かし合う風土 —— 多様性・公平性・包括性を組織文化として根付かせるための具体的な施策と考え方を身につけます。
  • 無意識バイアス(アンコンシャスバイアス)への気づき —— 人が無意識に持つ偏見に気づき、公正な判断・行動ができるよう意識を変容させます。
  • 心理的安全性の確保 —— 誰もが率直に意見を言えるチーム環境をつくるためのコミュニケーションスキルと組織づくりの手法を学びます。
  • 帰属意識(ビロンギング)の醸成 —— メンバー一人ひとりが「この組織に属していてよかった」と感じられる環境をつくる、働きがい・生きがいの両面に配慮した組織設計を学びます。

学習の特長:インプットからアウトプットへ

学習はテキスト・映像教材・ワークシートを組み合わせた体系的なオンラインプログラムで構成されています。インプットだけで終わらず、ワークシートを通じて学んだ内容を自分の職場に当てはめて実践につなげることを重視しています。このワークシートは資格取得後も繰り返し活用できるよう設計されており、継続的な実践を支援します。

受講の流れは、申込後にテキストが郵送され、オンライン学習アカウントが付与されます。自宅や職場など自分のペースで学習できます。

人事・組織担当者へのメリット

従来、DEI関連の取り組みは「多様性理解研修」「障害者差別解消研修」「バイアス研修」などが個別にバラバラに提供されており、人事担当者はそれぞれ別々の外部講師や研修を手配・調整する必要がありました。インクルーシブ・コミュニケーターはこれらを1つの資格に体系化しており、組織全体で共通言語を持ちながらDEIを推進と組織変革の基礎実践を進めることできる点が大きな強みです。

受講者の声

インクルーシブ・コミュニケーターを受講した方からは、現場での実践につながる声が多く寄せられています。

「これまでDEIに関する取り組みが社内でバラバラだったのですが、この資格を通じてメンバー全員が共通の土台で考えられるようになりました。会話が変わり、会議の雰囲気も変わってきたと感じています。」

(人事部門担当者)

「役職に関わらずリーダーとしてチームをどう高めるかを学べました。ワークシートを使って実際の自分のチームに当てはめながら考えることができたので、すぐに業務に生かせる実感がありました。」

(管理職・チームリーダー)

公益財団法人 日本ケアフィット共育機構

https://www.carefit.org/ic/

コメント

  • 須藤 慎

    記事作成者

    株式会社キャンパスクリエイト・専務取締役・プロデューサー

    本Webサイトの運営担当者です。2005年から、産学官連携や産業振興の業務に携わっています。

    コメント

    今回のヒアリングを通じて、ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)な組織づくりが多くの企業にとって喫緊の課題になっていることを改めて強く感じました。インクルーシブ・コミュニケーターは、まさにそうした企業ニーズを的確に捉えた資格です。基本知識の習得から実践的な取り組み方法、さらには組織変革へと繋げるプロセスまでを体系的に設計している点が、非常に合理的で実用的だと感じました。
    特に印象的だったのは、従来のD&I研修が個人の意識変容にとどまりがちだった中で、本資格がチームづくり・組織の制度・文化風土まで包括的に扱っている点です。「インクルーシブトランスフォーメーション(IX)」という概念のもとで5つの要素(パーパス浸透、DE&I文化構築、無意識バイアス、心理的安全性、帰属意識)を一貫して学ぶことができ、受講後すぐに職場での実践に活かせる設計になっています。これは、組織内のマイノリティの方が職場になじんでいくプロセスを後押しする意味でも、取り組む価値が高いと思います。
    日本において人的資本経営が年々重要視される中で、多くの人が働きやすい職場づくりは、離職率の低下・人材定着という観点でも喫緊に取り組むべきテーマです。業種を超えて幅広い企業に必要とされているこの資格が、組織変革の共通言語として定着していくことを期待しています。

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