中小企業・スタートアップの海外展開を支援する公的制度|全体ガイド

海外展開支援制度

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日本の中小企業・スタートアップの海外展開を支援する公的制度は、複数の機関によって提供されています。それぞれの機関が担う領域・支援の性格・対象フェーズは異なっており、自社の事業構想・フェーズ・展開先に応じた組み合わせで活用するのが基本的な考え方です。本ページは、主要な公的支援機関と制度を俯瞰する全体ガイドとして、各機関の位置付けと使い分けを整理します。

なぜ制度の全体像を理解する必要があるのか

日本の公的海外展開支援制度は、それぞれ異なる専門性を持つ機関が並立する多機関構造となっています。単一機関で完結するのではなく、情報・相談・金融・調査・連携といった機能が機関を跨いで分業されているため、自社の事業構想に最適な支援を受けるには、どの機関がどの局面を担うのかを理解したうえで、複数機関を組み合わせる視点が欠かせません。

一方で、公式情報では各制度が個別に紹介されるため、全体俯瞰での使い分け方が把握しづらいという構造的課題があります。本ガイドは、その横断視点を補完する位置付けです。

主要な公的支援機関の位置付け

機関 主な担当領域 支援の性格
JETRO(日本貿易振興機構) 情報・相談・マッチング、輸出・海外進出・スタートアップのグローバル化 多機能プラットフォーム
中小機構(SMRJ) 専門家派遣型ハンズオン支援、海外ビジネス情報ポータル 伴走型相談
NEDO 技術開発型スタートアップの国際共同研究開発・起業家育成 研究開発型補助金
JICA 開発途上国向けビジネス展開・SDGsビジネス 調査・実証のODA系委託契約
JBIC(国際協力銀行) 中長期・大型のクロスボーダー金融(融資・出資) 政策金融
経済産業省・中小企業庁 補助金・政策スキームの制度設計 補助金・計画認定
日本政策金融公庫(JFC) 中小企業向け国内・海外展開融資 政策金融(中小企業向け)
JFOODO 日本食品の海外プロモーション プロモーション支援
クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構) コンテンツ・サービス等の海外需要開拓への出資 政策投資

機能別の位置付け(どの機関が何を担うか)

情報・相談・マッチング

  • JETRO:新輸出大国コンソーシアム(エキスパート相談+パートナー機関のハンズオン支援)、海外展開現地支援プラットフォーム
  • 中小機構:海外展開ハンズオン支援(専門家派遣型)、海外ビジネスナビ
  • 日本公庫:全国152支店の海外展開サポートデスク(相談起点の支援接続)

 調査・実証

  • JICA:ニーズ確認調査、ビジネス化の実証事業(開発途上国限定)

 技術開発・国際共同研究

  • NEDO:ディープテック・スタートアップ支援基金/国際共同研究開発(相手国政府系機関とのコファンディング)

 金融(資金調達)

  • 日本政策金融公庫:海外展開・事業再編資金(国内親会社向け)、クロスボーダーローン(海外現地法人向け直接融資)、海外展開ゼロイチ+
  • JBIC:中堅・中小企業向け融資、海外展開支援出資ファシリティ(M&A・インフラ・資源)
  • 民間金融機関:日常取引・短期資金・現地通貨建て運転資金

 スタートアップのグローバル化

  • JETRO:J-StarX(海外アクセラレーター派遣)、GSAP(分野別コースで著名アクセラレーターと連携)
  • NEDO:ディープテック国際共同研究開発、NEP(起業家育成)

 プロモーション

  • JFOODO:食品分野のプロモーション
  • JETRO:海外展示会支援

スタートアップ向けの視点

スタートアップの海外展開では、補助金系(研究開発補助)、派遣プログラム(海外アクセラレーター)、政策投資(出資)という3軸の支援が存在します。

  • 技術開発・国際共同研究:NEDO国際共同研究開発
  • 海外エコシステムへのアクセス:JETRO J-StarX
  • 政策投資:クールジャパン機構(対象業種が合致する場合)
  • 情報・相談:JETRO・中小機構のスタートアップ支援窓口

スタートアップの場合、フェーズ(シード/アーリー/ミドル)・業種・展開先によって適合する制度が大きく変わるため、複数制度の併用検討が基本となります。

組み合わせで活用する実例的な視点

公的支援制度は単独で使うよりも、機関を跨いで組み合わせるほうが実務的な支援としての厚みを持ちます。

  • 途上国ビジネス立ち上げ:JICAニーズ確認調査→JICAビジネス化実証事業→JBIC/日本公庫の融資
  • アジア進出の中堅製造業:JETRO新輸出大国コンソーシアム相談→中小機構の現地調査支援→日本公庫クロスボーダーローン
  • ディープテックスタートアップの海外展開:JETRO J-StarXで海外エコシステム接触→NEDO国際共同研究開発で相手国企業とのR&D→海外投資家からの資金調達

複数機関の制度を並列的に俯瞰し、自社のフェーズ・展開先・事業類型に合わせて組み合わせる視点が、公的支援制度活用の実質的な価値を最大化します。

制度内容・対象要件・公募スケジュールは年度により見直しが行われます。最新情報は各機関の公式ページで確認してください。