海外展開・事業再編資金(クロスボーダーローン)|日本公庫から現地法人への直接融資

海外展開支援制度

公開日 

主催機関: 株式会社日本政策金融公庫(JFC/日本公庫・中小企業事業)
制度公式ページ: https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/cross-border_t.html

項目 内容
主催 日本政策金融公庫 中小企業事業
対象 経営革新計画・経営力向上計画の承認/認定を受けた中小企業の海外現地法人
融資方面 日本公庫から海外現地法人への直接融資
融資限度額 14億4,000万円
融資期間 設備資金20年以内/運転資金10年以内(米ドル設備資金は15年以内)
利率 4億円まで基準利率-0.9%/4億円超は基準利率
対象通貨 日本円または米ドル
対象地域 タイ、ベトナム、香港、シンガポール、フィリピン、メキシコ

制度の概要

海外展開・事業再編資金(クロスボーダーローン)は、日本政策金融公庫が、国内親会社を経由せず、海外現地法人に対して直接融資を行うクロスボーダー融資スキームです。国内親会社が連帯保証するかたちで、国内公的金融機関が海外現地法人の事業資金を直接支える構造となっており、中小企業の海外現地法人にとって、現地金融機関以外の資金調達選択肢を広げる制度です。円建て・米ドル建ての2通貨に対応し、為替リスクの設計も選択可能な制度運用となっています。

主な支援内容

  • 海外現地法人の事業運営に必要な設備資金・長期運転資金の直接融資
  • 円建てまたは米ドル建ての融資(為替リスクの設計選択)
  • 4億円まで基準利率-0.9%の優遇金利
  • 令和8年4月以降は地域金融機関と連携したスキームの取扱い開始(現地中小金融機関との協調可能性が拡大)
  • 対象6か国・地域(タイ・ベトナム・香港・シンガポール・フィリピン・メキシコ)への直接貸付

対象者

対象は、「経営革新計画」または「経営力向上計画」の承認・認定を受けた中小企業の海外現地法人です。国内親会社からの出資比率が50%以上であることが要件となります。対象地域はタイ・ベトナム・香港・シンガポール・フィリピン・メキシコの6か国・地域で、日本企業の進出が多いアジア主要拠点および北米サプライチェーン拠点をカバーする設計です。既に現地法人を設立し、現地事業を運営している段階の企業が典型的な利用イメージで、新規進出段階ではなく、既進出後の現地法人単位での資金調達が想定されています。

活用時のポイント

日本公庫クロスボーダーローンを他の海外事業資金調達手段と並べて見ると、「国内公的金融機関から海外現地法人への直接融資」という、他制度にはない立ち位置が際立ちます。海外現地法人の資金調達は、現地金融機関への依存度が高くなりがちで、現地金利水準・為替・現地金融機関との取引履歴がボトルネックになるケースがあります。他方、国内親会社経由のグループ内ローンには、グループ会計・税務・為替管理の観点から設計の工夫が必要で、機動的な資金供給に課題を抱える企業は少なくありません。本スキームは、そのギャップに対する日本公庫から現地法人への直接融資という第三の選択肢として設計されています。

制度設計上の特徴として目を引くのは、「国内親会社の連帯保証を前提としつつ、海外現地法人を直接の貸付先とする構造」です。これは、現地法人の信用力を直接の審査対象としながら、国内親会社のガバナンスを前提とする設計思想の表れと読み取れます。また、対象地域がアジア主要拠点とメキシコに絞られている点は、日本企業のサプライチェーン構造を踏まえた戦略的な絞り込みと見ることができます。加えて、令和8年4月からの地域金融機関連携スキーム開始は、現地金融機関との協調融資の可能性を広げる運用変更であり、制度の運用が継続的に進化していることを示しています。対象地域に海外現地法人を持つ中小企業、現地金融機関以外の資金調達多様化を検討している企業、経営革新計画・経営力向上計画を既に承認/認定取得済みの企業にとっては、検討価値の高い資金調達手段です。日本公庫のB07-01 海外展開・事業再編資金とは、国内親会社への融資と海外現地法人への直接融資という性格の違いで使い分ける制度群として運用されています。

留意点として、公募要領から読み取れるのは、経営革新計画または経営力向上計画の承認/認定取得が前提である点、対象地域が限定的である点、国内親会社の連帯保証が必須である点です。これらの要件の具体化度が、融資可能性を実質的に左右する構造となっています。事前の計画認定取得から融資実行までのリードタイムを見込んだスケジュール設計が、制度活用上のポイントです。初回相談は全国152支店の海外展開サポートデスクで受け付けており、計画認定の状況と現地法人の事業計画を持って相談するアプローチが、制度設計として想定されている進め方です。

問い合わせ先

対象地域・融資条件・優遇要件は年度の取扱要領により見直される場合があります。最新情報は公式ページおよび最寄りの日本公庫支店で確認してください。