中堅・中小企業向け融資(海外事業向け)|JBICのクロスボーダー中長期融資

海外展開支援制度

公開日 

主催機関: 株式会社国際協力銀行(JBIC)
制度公式ページ: https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/sectors/smes/overview.html

項目 内容
主催 JBIC(株式会社国際協力銀行)
対象 中小企業(資本金3億円以下または従業員300人以下)/中堅企業(資本金10億円未満)
資金用途 海外事業の設備投資資金・M&A資金
融資形式 直接融資/ツーステップローン/民間金融機関との協調融資
融資割合 原則として所要資金の7割を上限
融資期間 通常10年程度までを想定

制度の概要

中堅・中小企業向け融資(海外事業向け)は、JBIC(国際協力銀行)が日本の中堅・中小企業の海外事業展開に対して提供する中長期融資スキームです。開発途上地域での事業を主な対象として、設備投資資金・M&A資金のクロスボーダー融資や、民間金融機関との協調融資などを組み合わせ、中長期の大型資金ニーズに対応する設計となっています。米ドル・ユーロ・円・主要現地通貨建ての多通貨対応が組み込まれており、クロスボーダー案件特有の為替・通貨構造にも応じやすい制度運用です。

主な支援内容

  • 海外子会社・海外プロジェクトの設備投資資金の直接融資
  • 海外M&A資金の融資
  • ツーステップローン(民間金融機関を経由した間接融資)
  • 民間金融機関との協調融資による大型案件対応
  • 米ドル・ユーロ・円・主要現地通貨建ての多通貨対応
  • 中長期(10年程度まで)の融資期間設計
  • 開発途上地域案件を中心とした対象地域設計(先進国は条件限定)

対象者

対象は、資本金3億円以下または従業員300人以下の中小企業、および資本金10億円未満の中堅企業です。業種としては製造業を中心に広く対応しており、海外で生産拠点・販売拠点を設ける、海外企業を買収する、既進出拠点の増設を行うといった、中長期の海外事業投資案件が典型的な利用シーンです。先進国向け案件については、M&A資金や特定要件を満たす案件に限定される構造となっているため、対象地域・資金用途の初期整理が応募検討時の重要論点となります。

活用を検討する際の視点

JBIC中堅・中小企業向け融資を他の海外展開資金調達手段と並べて見ると、「公的金融機関によるクロスボーダー中長期融資」という、民間金融機関単独では担いきれない領域を担う立ち位置が際立ちます。中堅・中小企業が海外で大型の設備投資やM&Aを行う際、案件の規模・期間・カントリーリスクが民間金融機関単独では対応が難しいケースが構造的に発生します。他方、海外事業の収益化には一定の立ち上げ期間が必要で、短期資金では対応しきれない構造もあります。本制度は、そのギャップに対する公的金融機関によるクロスボーダー中長期融資として位置付けられ、民間金融機関との協調構造を通じて、企業側の調達の選択肢を拡張する機能を担います。

制度設計上の特徴として目を引くのは、「民間金融機関との協調融資」を前提とした設計です。直接融資と協調融資を組み合わせることで、JBIC単独ではなく民間金融機関との連携を通じて案件組成を行う構造となっており、企業側にとっては既存の取引金融機関を通じてJBIC融資にアクセスできる設計思想が制度に反映されています。また、融資割合が原則7割を上限とすることで、企業側にも一定のリスク負担を求める構造は、健全な事業計画の実装を促す設計と読み取れます。海外で生産拠点の新設・増設を計画している製造業、海外M&Aによる事業拡大を視野に入れている企業、長期の海外事業投資を計画している中堅企業にとっては、検討価値の高い資金調達手段です。同じJBICの海外展開支援出資ファシリティとは、融資と出資という性格の違いで使い分ける制度群として運用されています。

留意点として、融資相談から実行までは事業計画の妥当性・担保/保証スキームの設計・民間金融機関との協調条件の調整といったプロセスが必要で、一定のリードタイムを見込んでおく必要があります。先進国案件については対象が限定されるため、対象地域の確認も初期段階の論点です。初回相談は東京・大阪の窓口で受け付けており、事業計画を持って相談するアプローチが、制度設計としても想定されている進め方です。日本政策金融公庫(JFC)の海外展開事業再編資金等との性格の違い・組み合わせ設計も、資金調達全体の論点として検討余地があります。

問い合わせ先

融資条件・金利・対象地域は案件ごとの個別審査で決定されます。最新情報および個別条件は公式ページおよびJBIC窓口で確認してください。