フォークリフト自動化の切り札 AutoFork(オートフォーク)

倉庫DX

公開日 

ヒアリング先
株式会社ハクオウロボティクスCOO 事業開発責任者 塩原 努 氏

深刻化する物流・製造現場の人手不足。フォークリフトオペレーターの採用難が常態化する中、株式会社ハクオウロボティクスが開発・販売する「AutoFork(オートフォーク)」は、従来の自動フォークリフトの課題であった「導入の難しさ」と「高コスト」を一気に解決した完全国産の自動フォークリフトです。納入当日から使えるシンプルな操作性、不整列なパレットも一括認識する独自技術、そして圧倒的なコスト競争力で、倉庫DXの新たな選択肢として注目を集めています。

1. ハクオウロボティクスとAutoForkについて

株式会社ハクオウロボティクスは、2022年12月に設立されたスタートアップ企業です。代表取締役の鈴木智広氏をはじめ、自律走行ロボット開発で豊富な実績を持つメンバーが集結し、「人がモノを運ばない世界」の実現を目指して完全国産の自動フォークリフト「AutoFork」を開発・販売しています。プロロジスを株主に迎え、三菱ロジスネクスト社(国内第2位のフォークリフトメーカー)との業務提携により、量産・販売・保守の強固なサプライチェーンを確立しています。

AutoForkは、三菱ロジスネクスト社製のウォーキー型フォークリフトをベース車体として採用し、ハクオウロボティクスが独自開発した自動運転システムを搭載した完全国産の自動フォークリフトです。スイッチ1つで有人・無人モードを切り替えられるため、現場の状況に合わせた柔軟な運用が可能です。

2. AutoForkの3つの特徴

特徴①:納入当日から使える!プレイバック機能

AutoFork最大の特長の一つが、PCを一切使わずに自動運転を開始できる「プレイバック機能」です。作業者が一度手動でフォークリフトを操作し、その走行ルートや荷役作業箇所を記憶させるだけで、翌日から自動走行が可能になります。本体に搭載されたタッチモニタからの操作のみで完結するため、ITに不慣れな現場担当者でも直感的にセットアップができます。また、記録した複数のルートを組み合わせることで、より複雑な搬送シナリオ(最大10個)を作成することも可能です。

従来の自動フォークリフトでは、導入後に専門エンジニアが1週間かけて設定作業を行うケースも少なくありませんでした。AutoForkのプレイバック機能は、こうした「導入の壁」を大幅に低下させ、現場の負担なくスモールスタートを実現します。

プレイバック機能

人が操作したルートを覚えて、自動走行できる

  • 作業者が一度だけ手動でフォークリフトを操作し、その走行ルートや荷役作業箇所を記憶させる
  • PCでの複雑な設定は一切不要で本体に搭載されたタッチモニタの操作のみ
  • 記録した複数のルートを組み合わせて、より複雑な一連のシナリオを作成することも可能

特徴②:スムーズで正確な動き!高精度制御

独自の自動走行アルゴリズムにより、走行・停止精度±10mmという高精度制御を実現しています。その場での旋回も可能で、狭い通路でも小回りが利く小型ボディと相まって、多様な現場環境に対応できます。走行速度は無積載時で最大5.0 km/h、積載時でも4.5 km/hと、従来の自動フォークリフトと比較しても遜色のない速度で稼働します。

自己位置推定には「レーザー誘導方式」を採用しており、倉庫内の壁や柱に反射ポールを設置するだけで自動運転マップが完成します。従来の磁気誘導方式のように床面全体を工事する必要がなく、稼働を止めずに導入できるため、工事費用や作業負荷を大幅に削減できます。マニュアル運転で使用エリアを一周するだけでマップが自動生成されるため、10メートル四方程度であれば半日以内にセットアップが完了します。

特徴③:パレット位置を認識して一括搬送!

AutoFork(Standardモデル)が持つ最も独自性の高い機能が、「パレット一括認識機能」です。搭載カメラによりパレットの位置や傾きをリアルタイムに認識し、不整列に置かれた複数のパレットでも自動で正確に取得・搬送することができます。これにより、従来の自動フォークリフトで必要だった荷物の厳密な位置合わせが不要となり、人と機械が自然に協働できる環境が整います(特許出願済)。

走行しながら横のパレットを認識し、その位置・傾きから最適な進入角度を計算してパレットへ直角にアプローチする一連の動作を、すべて自動で行います。人が置いた荷物をそのまま認識して運べるため、現場の作業フローを大きく変えることなく自動化を実現できます。

パレット一括認識機能

不整列に置かれたパレットを搬送でき、人の作業からの置き換えが容易

  • 人が置いた不整列の荷物をまとめて認識し、自動で位置を合わせて運び出す
  • 従来の自動フォークで必要だった荷物の厳密な位置合わせが不要になり、 人との協働が可能に(特許出願済)

3. 主なユースケース

AutoForkが特に威力を発揮するシーンは、定点間の繰り返し搬送作業です。

  • トラックバース〜仮置き場への横搬送(物流倉庫):入庫した荷物を受け取り場所から保管スペースへ移動する「横持ち」は、フォークリフトオペレーターの主要業務の一つです。AutoForkがこの往復作業を自動化することで、人員をより付加価値の高い業務へ集中させることができます。
  • A点〜B点間の工程間搬送(製造工場):製造ラインから搬送パレットへの積み付けが完了したタイミングで、次工程へ自動搬送するニーズが製造業で急増しています。専任のフォークマンを配置する必要がなくなり、工場内の人員配置を最適化できます。
  • 垂直搬送機・エレベーターとの連携:AutoForkはエレベーターや垂直搬送機とのAPI連携にも対応しており、多階層施設での完全自動搬送システムの構築が可能です。

主な用途

  • 【物流】トラックバース~仮置き場間への横搬送
  • 【工場】A点-B点間の工程間搬送など

4. フォークリフト免許が不要な設計思想

AutoForkの最大荷重は570kgに設定されています。これは単に性能上の制限ではなく、物流現場での「使いやすさ」を最大化するための戦略的な設計です。日本の法令上、最大荷重1トン以上のフォークリフトはフォークリフト免許が必要ですが、570kgに抑えることで免許不要となり、自動フォークリフトが導入しやすくなります。また、パートやアルバイトの方を含む幅広い現場スタッフがマニュアル操作時も扱えます。

また、小型ボディは現場作業者への圧迫感を与えず、製造工場など小型フォークリフトが推奨される環境にも適しています。食品・日用品・家電・電子部品など1パレット500kg以下の搬送物が多いEC系倉庫での需要も見込まれており、物流現場の幅広いニーズに対応できる設計となっています。

5. 圧倒的なコスト競争力と費用対効果

ハクオウロボティクスは圧倒的なコスト競争力を強みとしています。費用対効果シミュレーターをホームページ上で公開しており、自社の状況に合わせた投資回収期間を事前に確認することができます。

参考:https://hakuou.co.jp/hakuou-plus/cost-simulator/

例えば、時給1,600円の作業者が12時間稼働する場合と比較すると、AutoFork Standardの導入により約2年9ヶ月での投資回収が可能とされています。時給2,500円の場合は2年を切り、管理コストなどの間接費用を加味するとさらに早期回収が見込めます。

6. 安全性への取り組み

自動走行機器において最も重要な「安全性」についても、AutoForkは多層的な対策を講じています。

  • 周囲360°障害物センサー(2D-LiDAR):車体前後に搭載したセンサーが常時周囲を計測し、障害物の距離に応じて減速・停止制御を行います。
  • バンパ接触センサー・タイヤガードセンサー:物理的な接触が生じた場合に即時停止します。
  • 爪先センサー・緊急停止ボタン:フォーク爪の先端にもセンサーを備え、万が一の際には即座に全停止します。
  • 車両自己診断:センサーが故障した場合は自動でエラーを発し、起動しない仕組みになっています。
  • 製造物責任保険:三井住友海上火災保険による損害保険に加入しており、万が一の損害に備えた体制を整えています。

自動運転ロボット開発で豊富な経験を持つ創業チームが、安全設計に細心の注意を払って開発しており、これまでの商用実績においても人的・物的損害の報告はありません。

7. 拡張性:大規模自動倉庫への展開

ハクオウロボティクスが掲げるビジョンは「人がモノを運ばない世界」の実現です。フォークリフトは物流現場において唯一「荷物を取りに行って運んで置く」ことができる能動的搬送機であり、AGV・コンベア・垂直搬送機・エレベーターといった他の受動的搬送機と連携させることで、大規模な全自動搬送システムを構築できます。

AutoForkはオープンなAPIを公開しており、エレベーター連携・AGV連携・トラック荷積み認識など多様なアプリを追加搭載できる「Parade-H ロボット・アプリ・プラットフォーム」を採用しています。これにより、導入時はシンプルな横搬送からスタートし、事業の成長とともに段階的に自動化の範囲を拡大していくことが可能です。

8. まとめ

AutoForkは、①納入当日から使えるプレイバック機能、②±10mmの高精度制御、③不整列パレットの一括認識、という3つの特長を兼ね備えた完全国産の自動フォークリフトです。従来製品の数分の1というコストで自動化への第一歩を踏み出すことができ、将来的にはLiteからStandardへのアップグレード、さらには大規模な全自動搬送システムへの拡張も視野に入れた設計となっています。

株式会社ハクオウロボティクス:https://hakuou.co.jp/