クラウドカメラで倉庫DXを加速——セーフィーが描くサプライチェーン可視化とデータ連携

倉庫DX

公開日 

ヒアリング先
セーフィー株式会社営業本部 第3ビジネスユニット副部長 中原 航 氏

セーフィー株式会社のクラウドカメラは、国内クラウド録画サービス市場のリーディングサービスです。低コストかつ簡単に設置でき、倉庫のバース管理・現場の可視化・出荷検品エビデンスの確保など、サプライチェーン全体の課題解決に貢献します。WMS(倉庫管理システム)やバース予約システムとAPI連携が可能で、既存システムとスムーズに接続できる点が大きな特長です。

1. クラウドカメラとは

クラウドカメラとは、カメラで撮影した映像をインターネットを通じてクラウド上に保存・管理する仕組みです。従来の監視カメラや防犯カメラは、カメラ本体のSDカードや、カメラに接続されたレコーダーに映像を保存していました。クラウドカメラでは、カメラをインターネットに接続することで映像をクラウド環境に送信・保管するため、いつでもどこからでもPCやスマートフォン・タブレットを使って映像を確認できます。

また、クラウドカメラはAIカメラとは異なる概念です。クラウドカメラはあくまで映像をクラウド上で管理するプラットフォームであり、AIカメラはカメラ本体やクラウド側に画像解析AIを搭載して映像を解析する仕組みを指します。セーフィーでは両方の機能を組み合わせたサービスも提供しており、近年はAI活用にも注力しています。

なお、セーフィーでは従来のクラウド録画に加え、SDカードやレコーダーに録画しながらクラウド環境からも映像を確認できるハイブリッド録画にも対応しています。倉庫内のバーコードリーダー等が使用するネットワーク帯域を圧迫しないよう、必要なタイミングでのみクラウドへデータを送信する仕組みも備えています。

2. セーフィー製クラウドカメラの特徴

高品質・使いやすいUI/UX

セーフィーのカメラは高画質であることに加え、映像を閲覧するWebサイトやアプリのUI/UX(使いやすさ)が高く評価されています。専門的な知識がなくても、現場の誰でも簡単に映像を確認・活用できるよう設計されており、導入から工事・導入後サポートまで一貫したサービスを提供しています。

高いセキュリティ

クラウド環境への映像保管においてはセキュリティが懸念されることがありますが、セーフィーでは創業以来、映像流出事故を起こしたことがなく、常に最新の暗号化技術で映像データを保護しています。大手企業を中心に安心して導入いただける実績を積み重ねています。

簡単設置

セーフィーのフラグシップカメラ「Safie One(セーフィー ワン)」はネット環境と電源さえあればカンタン設置でき、既存のコンベアや搬送設備(マテハン)がある環境でも後付けが可能です。また、倉庫を移設する際もカメラごと移設できる柔軟性も魅力です。

常時録画による映像エビデンスの確保

何か問題が発生したときだけ記録する仕組みでは、問題の判定や証明が困難です。セーフィーでは常時録画を基本とし、「作業していた・していなかった」「ミスが発生したのはいつ・どこか」を映像として客観的に証明できます。クラウド保管のためレコーダーの故障によるデータ消失リスクもありません。

あらゆる業界・業種での豊富な導入実績

セーフィーは物流業に特化したソリューションベンダーではなく、小売・飲食・建設・製造・医療など幅広い業界でクラウドカメラを提供しています。物流業において重要なサプライチェーンの上流(製造・荷主)から下流(小売店舗・エンドユーザー)まで、さまざまな企業にセーフィーのカメラが導入されているため、サプライチェーン全体の可視化が実現しやすい環境にあります。

3. クラウドカメラの倉庫における利用用途と効果例

バース管理の最適化(澁澤倉庫株式会社の事例)

倉庫のバース(トラックの荷降ろし・積込み場所)は、当て逃げや設備の破損が発生しやすく、また複数のトラックドライバーが出入りするため管理が複雑です。従来はバース担当者が各バースまで足を運んで作業完了を確認し、次のドライバーを呼ぶという非常にアナログな運用が行われていました。

セーフィーのカメラをバースに設置することで、事務所の大型モニターで全バースの状況をリアルタイムに確認できるようになりました。担当者が各バースへ足を運ぶ必要がなくなり、移動の無駄を省いて生産性を大幅に向上させることができています。また、当て逃げの映像記録や責任の所在確認にも活用されています。

倉庫全体の可視化とオペレーション改善(株式会社MonotaROの事例)

MonotaROでは、すべての倉庫のすべてのエリアにセーフィーのカメラを設置し、事務所から倉庫全体を確認できる環境を構築しています。現場リーダーが「現場にいなければ指示が出せない」という課題を解消し、会議中やデスクワーク中でも映像で現場状況を把握しながら、必要に応じてスタッフへの指示や人員配置の調整ができるようになりました。

MonotaROでは社内の一般従業員もカメラ映像を日常的に活用しており、「セーフィーを見る」という言葉が社内共通語として定着しているほどです。映像は言語的な専門知識が不要なフラットなコミュニケーション手段でもあり、上層部から現場スタッフまで同じ情報をもとに素早い判断が下せることで、組織全体のDX推進にも貢献しています。

搬送設備のチョコ停対策(株式会社MonotaRO・トーヨーカネツ株式会社の事例)

「チョコ停」とは、生産設備や倉庫の搬送設備(マテハン)が一時的に停止・空転する現象です。大きなトラブルに比べて復帰までの時間が短く、管理者への報告が行われないケースが多いため、損失が積み重なっても気づかれにくいという問題があります。

チョコ停が発生しやすい箇所にセーフィーのカメラを設置することで、停止の原因や発生時の状況を映像で把握できるようになります。原因分析した映像をマテハンメーカーに送ることで、次回の訪問時に根本的な解決策を提案してもらえるほか、再発防止につなげることができます。トーヨーカネツでは、遠隔からの映像サポートにより若手技術者の育成コスト削減や出張時間の削減にも効果を上げています。なお、MonotaROではカメラ2台の導入で月額換算80万円相当の人件費削減効果が試算されています。

出荷検品・梱包工程の映像エビデンス(佐川グローバルロジスティクス株式会社の事例)

EC物流や3PL(サードパーティー物流)では、「荷物が入っていない」「商品が破損していた」「違う商品が届いた」といった荷主やエンドユーザーからの問い合わせが多く発生します。映像がない環境では責任の所在が不明確になりやすく、倉庫側が一方的に責任を負わされるケースも少なくありません。

セーフィーのカメラを出荷検品台や梱包工程に設置し常時録画することで、作業内容を映像として客観的に証明できるようになります。佐川グローバルロジスティクスでは以前、別社のカメラを導入していましたが、SDカードを取り出して映像を確認するまでに1時間以上かかるという運用の煩雑さから、実際にはほとんど活用されていませんでした。セーフィーのクラウドカメラとWMSを連携させることで、問い合わせ1件あたりの対応時間が1時間から約12分へと大幅に短縮されています。

4. クラウドカメラとWMSのデータ連携

セーフィーのクラウドカメラは、お客様がお使いのWMS(倉庫管理システム)と連携することができます。この連携にかかる追加費用はなく、あくまでクラウドカメラの利用料のみで活用いただけます。

APIによるURL連携の仕組み

セーフィーの映像はWebブラウザで閲覧するため、各映像にはURLが付与されています。WMS側に軽微な改修を加え、このURLを生成できるようにするだけで、WMSの画面から「検品動画」ボタンをワンクリックするだけで、該当する作業の映像を即座に再生できるようになります。システム同士をAPIでフル連携するよりも大幅に開発工数を抑えながら、実質的に連携しているのと同等の効果が得られるのが大きな特徴です。

WMS連携による効果(ROIシミュレーション)

例えば4拠点の倉庫で月4件の問い合わせが発生し、1件あたりの対応人件費が1,500/時間の場合を想定したシミュレーションでは、WMS連携によって問い合わせ対応時間を約63分削減でき、月約25,200円(年換算約30万円)のコスト削減効果が得られると試算されています。

ロジザードとの連携

WMSベンダーの一つであるロジザードとも連携しており、ロジザードをお使いのお客様はオプション契約によってセーフィーとの映像連携機能をすぐにご利用いただくことができます。

5. クラウドカメラとWMS以外のデータ連携

バース予約システムとの連携(ナンバープレート認識)

2024年問題への対応として、一定規模以上の荷主に対しては荷待ち2時間規制の遵守義務と定期報告が求められるようになっています。しかし、トラックの入退場時刻をバース予約システムに手入力したり、ドライバーが入力を忘れてデータが欠損したりする問題が依然として残っています。

セーフィーでは、倉庫入口のゲートにカメラを設置してトラックのナンバープレートを自動で読み取り、バース予約システムと自動連携する新サービスを提供しています。AIによるカメラ側での解析とクラウドへのデータ転送をシンプルに実現できるため、従来のオンプレミス型ナンバープレート認識システムに比べて設置が簡単で低コストです。バース予約システムの大手2社と連携しており、導入から工事まで一括でサポートしています。

搬送設備(マテハン)システムとの連携

マテハンメーカーや搬送設備の保守管理システムとの連携により、設備の稼働状況や異常停止の発生をリアルタイムに映像で確認できます。前述のトーヨーカネツの事例では、遠隔の技術サポートセンターから映像を見ながら若手技術者を指導することで、現場への駆けつけ回数を削減し、対応速度と正確性を高めることができています。

他システムとのURL連携(店舗システム・BIツール等)

セーフィーのURL連携の仕組みはWMSに限らず、タイムスタンプ情報を持つあらゆるシステムに応用できます。店舗の勤怠管理システムや、生産性可視化のためのBIツール、在庫管理システムなど、複数の物流ITベンダーとの協業が進んでいます。

さらに、APIを活用した高度な連携も選択肢の一つです。URLベースの非API連携と、本格的なAPI連携のいずれも対応しており、お客様のシステム環境や開発リソースに合わせた柔軟な導入が可能です。

セーフィーでは「物流DX会議」などのイベントでも他の物流ITベンダーと共同発表を行うなど、自社サービスの枠を超えた業界連携で付加価値を生み出す取り組みを積極的に進めています。クラウドカメラという映像プラットフォームを中心に、定量データ・AIとの組み合わせによって、サプライチェーン全体の可視化と業務効率化を牽引していく方針です。

まとめ

セーフィーのクラウドカメラは、「低コスト・簡単設置」「高セキュリティ」「常時録画によるエビデンス確保」「既存システムとの柔軟な連携」という強みを持ち、倉庫・物流現場のDXを強力にサポートします。

  • バース管理の可視化・効率化(担当者の移動コスト削減)
  • 倉庫全体のリアルタイムモニタリング(遠隔での現場管理)
  • チョコ停・マテハン異常の原因分析と再発防止
  • 出荷検品・梱包の映像エビデンス確保と問い合わせ対応時間の大幅短縮
  • WMS・バース予約システム・BIツールなど既存システムとの手軽なデータ連携

2024年問題への対応が急務となる物流業界において、クラウドカメラはサプライチェーン可視化の中核を担う重要な手段のひとつです。「まずは1台から始められる」手軽さで導入ハードルが低く、現場の課題に合わせて段階的に拡張できる点も、クラウドカメラならではの強みといえます。

コメント

  • 須藤 慎

    記事作成者

    株式会社キャンパスクリエイト・専務取締役・プロデューサー

    本Webサイトの運営担当者です。2005年から、産学官連携や産業振興の業務に携わっています。

    コメント

    倉庫DXというと、WMS刷新やロボット導入など大きな投資を想像しがちですが、今回のヒアリングを通じて「まず第一歩としてクラウドカメラを検討する」という選択肢は、想像以上に有力だと感じました。理由はシンプルで、予算的なハードルが比較的低く、効果が分かりやすく、現場がすぐ実感できるからです。バースの状況確認や倉庫内の巡回、設備の停止確認など、これまで「見に行くしかない」業務は多く存在します。そこにクラウドカメラを置くだけで、移動の手間や確認作業そのものが減り、判断のスピードも上がる。大規模倉庫で多数導入されている事例があるのも納得でした。
    加えて印象的だったのが、他システムとのデータ連携のしやすさです。「互換性の高さ」は非常に大きいポイントで、問い合わせ対応や検品エビデンス確認の時間を劇的に短縮し、現場と管理側のコミュニケーションも滑らかにします。
    クラウドカメラを「可視化の起点」として、必要なところから段階的にデータ連携を広げていけるなら、出戻りの少ない、効果的なDXにつながるはずです。倉庫の課題を「まず見える化する」ことの価値を、改めて実感できる内容でした。

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