免疫原性ペプチドが封入された脂質ナノ粒子を含む免疫原性組成 ~化学合成ペプチドの製剤化(LNP化)技術を含む~
技術・ノウハウの基本情報
| 組織・研究者 | 徳島大学 大学院医歯薬学研究部 薬学域 薬科学部門 生命薬学系 薬物動態制御学 安藤 英紀 准教授/石田 竜弘 教授 |
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| 種類 | 大学の技術・ノウハウ |
| 分野 | 医工連携/ライフサイエンス |
| 概要 | 抗体誘導や核酸医薬送達に用いられる脂質ナノ粒子(LNP)に、キャリアタンパク質を用いずに化学合成ペプチドを高効率に封入する製剤化技術を開発しました。 mRNAワクチンは保存安定性に乏しく超低温保存が必要であることに加え、mRNAワクチンそのものに対する忌避感もあり、開発・普及のハードルとなっています。一方、化学合成が可能なペプチドを抗原とするワクチン開発は有用なアプローチですが、これをヒトに投与可能な製剤として実用化するには、抗体誘導能を持つアジュバントと製剤化技術の両方が必要という課題がありました。 本技術では、mRNAワクチンで実績のあるアジュバント能を有するLNPに、KLHなどのキャリアタンパク質を用いることなく15~30アミノ酸からなるペプチドを封入する独自技術を確立し、マウス筋肉内投与により抗TNF-α抗体などの誘導を確認しました。 |
【簡略図】

ペプチド封入LNPの模式図:mRNAワクチンのLNP化を模倣し、ペプチドをLNP内に高効率に封入する
【背景】
mRNAを用いたワクチンの開発が進められていますが、mRNAは保存安定性に欠け、超低温での保存が必要となるなど取り扱いが難しく、また、mRNAワクチンに対する国民の忌避感もあり、その普及は容易ではありません。
一方、化学合成が可能で、セントラルドグマの下流にあたるペプチドを抗原とするワクチン開発は有用なアプローチと考えられます。発明者らは、KLHなどのキャリアタンパク質を用いずに、15~30アミノ酸からなるTNF-α、PD-1、Amyloid beta由来のペプチドをそれぞれ投与することで、各ペプチドに特異的な抗体が誘導されることを見出しました。ペプチドワクチンの実用化には、ヒトに投与した際に抗体を誘導しうるアジュバントと、これをヒトに投与できる製剤化技術の両方が必要となります。
【技術内容】
発明者らは、mRNAワクチンで使用されているアジュバント能を有する脂質ナノ粒子(LNP)に、抗体誘導能を持つペプチドを封入する技術を独自に開発しました。mRNAのLNP化を模倣することで、15~30アミノ酸のペプチドをLNP内に高効率に封入することに成功しています。
ペプチド封入LNPをマウス筋肉内に繰り返し投与する試験を実施したところ、投与回数(1st~6th dose)を重ねるごとに抗TNF-α抗体(Anti-APT-002 IgG)の誘導量が増加することを、雌雄・2種の脂質組成(DC-6-14/D-Lin-MC3-DM)で確認しました。TNF-α由来ペプチドLNPの反復投与により抗TNF-α抗体が誘導されることを世界ではじめて確認しました。
【技術・ノウハウの強み(新規性、優位性、有用性)】
【新規性】KLHなどのキャリアタンパク質を用いることなく、化学合成ペプチド単独で抗体誘導が可能であることを示しました。また、mRNAワクチンのLNP化技術をペプチドの封入に応用する独自の製剤化技術を確立しました。
【優位性】mRNAワクチンで実績のあるアジュバント能を有するLNPを基盤とするため、ヒトへの投与実績があるプラットフォームを活用でき、開発リスクを低減できます。ペプチドは化学合成が可能で、mRNAのような超低温保存も不要です。
【有用性】TNF-α、PD-1、Amyloid betaという異なる標的タンパク質由来ペプチドでそれぞれ特異的な抗体誘導を確認しており、ペプチドワクチンだけでなく、任意のタンパク質を抗原とした抗体作製や、LNPを利用したペプチドの体内デリバリーにも応用可能です。
【連携企業のイメージ】
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ペプチドワクチン(感染症、がん、生活習慣病、アルツハイマー病等)の開発を行う製薬企業・バイオベンチャー
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抗体医薬品の創出を行う企業(任意の標的タンパク質由来ペプチドを抗原とした抗体誘導・スクリーニング用途)
- LNPを用いたペプチド医薬の体内デリバリー技術の確立を目指す製剤・創薬企業
【技術・ノウハウの活用シーン(イメージ)】
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ペプチドワクチンの開発(TNF-α、PD-1、Amyloid betaを対象とした抗体誘導)
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抗体開発事業:所望のタンパク質由来ペプチドを抗原とすることによる簡便な抗体誘導
- ペプチド・デリバリー:LNPに封入したペプチドを静脈内投与することによる、肝臓をはじめとする各組織へのデリバリー
【技術・ノウハウの活用の流れ】
大学では下記のような検討が可能です。まずはご相談ください。
・対象タンパク質・抗原ペプチド設計の検討
・ペプチドのLNP封入(製剤化)、脂質組成の最適化
・動物モデルでの抗体誘導試験(筋肉内投与等)による有効性評価
・評価結果に基づく製剤化条件の最適化、実用化・特許実施許諾等の検討
【専門用語の解説】
・LNP(脂質ナノ粒子):脂質で構成されるナノサイズの粒子。mRNAワクチンの送達担体として実用化されており、抗体を誘導するアジュバントとしての機能も有する。
・アジュバント:ワクチン抗原と併用することで、免疫応答(抗体誘導など)を増強する物質。
・セントラルドグマ:DNAの遺伝情報がRNAに転写され、タンパク質に翻訳されるという、生命の基本原理。
・KLH(キーホールリンペットヘモシアニン):低分子抗原の免疫原性を高めるために従来用いられてきたキャリアタンパク質。
・IgG抗体:免疫グロブリンGと呼ばれる、血液中に最も多く存在する抗体の一種。
・マイクロ流体ミキシング:脂質とペプチド(または核酸)の溶液を微小流路内で精密に混合し、均一なLNPを形成させる製剤化手法。