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なぜなに産学官連携

文理融合の取組事例

文理融合が近年着目されていますが、具体的にどのような文系と理系の融合要素が考えられるのか、どういう事例があるのか、わかりづらく情報が整理されていないことがハードルとなっています。

 

伝統的に、文系とは主に人間の活動を研究の対象とする学問(主に人文科学と社会科学に分類される)の系統とされています。対して理系とは主に自然界を研究の対象とする学問(およそ自然科学に分類される)の系統とされてきています。

 

人文科学にも様々な類型がありますが、一般的に用いられる類型としては、哲学、論理学、倫理学、美学、宗教学、歴史学、考古学、人文地理学、文化人類学、民俗学、言語学、文学、芸術学、教育学、心理学、人間科学が挙げられます。

 

社会科学には、政治学、政策科学、経営学、法学、経済学、社会学、社会福祉学などが挙げられます。

社会科学と自然科学に関連が近い分野としては、社会工学、統計学、情報学(情報社会学、メディア・スタディーズなど)、都市工学、数理経済学・経済物理学、自然地理学などが挙げられます。

 

産学連携における文理融合プロジェクトで分かりやすい事例を紹介します。

 

■中央大学・国際情報学部

出典:AI時代に必要な文理融合の教育とは

https://d-marketing.yahoo.co.jp/entry/20190529673183.html

 

AIが普及する中で、法学と倫理・社会学の知識を培う必要性を言及しています。下記は要点の抜粋です。どのように社会が変わるか、ビジネスの落とし穴があるかを十分に検討することで、より社会情勢に即した事業推進が可能になると期待できます。

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■国際情報学部が育成する、“情報の仕組み×情報の法学×グローバル教養”という素養を持つ人材は、今後、どのような企業・組織にとっても必要なものとなる。

■初等教育の段階から理系科目が重視されるようになった一方、最先端の技術者が倫理・法学の重要性を訴え始めているように、これからは文理融合の素養が求められるようになる
■一般のビジネスパーソンは、文理融合の素養だけでなく、複雑になっていく情報化社会に対応するためにも「法的思考」を身につけるべきである

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■大阪大学 ELSIセンター

出典:日本経済新聞 新技術の課題、文理融合で研究 阪大が新組織設立

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58164550X10C20A4CK8000/

出典:大阪大学 社会技術共創研究センターホームページ

ELSIとは

 

 

ELSIセンターは、新規科学技術に関して、下記の機能を提供するとしています。(抜粋)

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(1)人文社会科学の知見を学術領域横断的に糾合することによりELSIへの対応やガバナンスの在り方を総合的に研究する機能

(2)ELSIに関する各学術領域の知見あるいはELSIに関し知見を有する研究者等を紹介するハブ機能

(3)ELSIに関するワークショップ等を実践することで事業者、行政、市民等ステークホルダーをつなぐ機能、そして(4)ELSIの抽出及び対応に貢献し得る人材(ELSI人材)の育成に向けた教育等を実施する機能を備えることにしています。

 

ELSIとは、倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)の頭文字をとったもので、エルシーと読まれています。新規科学技術を研究開発し、社会実装する際に生じうる、技術的課題以外のあらゆる課題を含みます。

 

倫理的・法的・社会的課題の中で、倫理(E)は、社会において人々が依拠するべき規範であり、長期的には変化しますが、短期的には安定的です。法(L)の基盤となることが期待されています。法(L)は倫理(E)からの不断の見直しを迫られますが、社会(S)の影響も受けざるをえません。他方、社会(S)、すなわち世論は移ろいやすく、不安定です。

新しい科学技術が社会に導入されると、現行の法規制(L)で解釈ができなかったり、そのままだと違法になってしまったりすることがあります。例えば、安価なドローンが普及し始めた際に、航空法が小型の無人機に十分に対応したものでないことが課題として浮上しました。また、新規科学技術は、新たな倫理規範(E)を必要とすることがあります。新しい生殖医療技術や移植技術は常に新しい倫理的な規範を必要とします。また、19世紀末、人々がカメラを持つことができるようになったことが、プライバシー権という新しい規範を生み出しました。さらに、新規科学技術には、社会的受容性(S)も必要不可欠です。たとえ法規制(L)を遵守していても、当該技術を社会(S)が受け入れない場合は、いわゆる炎上という事態が容易に生じます。

このように、新規科学技術のイノベーション、すなわち新しい科学技術を社会に普及させ、新たな産業の創造や生活様式の変化にまで導くためには、倫理(E)、法(L)、社会(S)のすべての課題に対処する必要があるのです。

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下記のWebサイトにある論文を読むと、国内外のELSIに関する研究・実践活動の最新動向が紹介されており、具体的なプロジェクトと意義を理解しやすくなります。

出典:大阪大学 社会技術共創研究センターホームページ https://elsi.osaka-u.ac.jp/research_category/elsi_note/

 

例えば下記の文献が挙げられます。

●分子ロボティクス研究の現状とELSIに関する検討:今後のテクノロジーアセスメントに向けて

●続・生体認証技術の動向と活用

●接触追跡技術とELSI に関する10 の視点 Ver.0.8

 

大阪大学では文理融合型総合研究棟も立ち上げています。

出典:大阪大学ホームページ http://www.soukikaku.co.jp/works/university/1420

 

■神戸大学 文理融合による「こころの生涯健康学」研究の創成

出典:神戸大学ホームページ http://www.oair.kobe-u.ac.jp/lmst/project/23.html

 

人間の健康が重要視される中で、精神的な健康をサポートするための先端的なヘルスケア・医療機器・働き方改革用ソフトウェアなどのサービス・製品が社会に普及しています。こころの病について理解し、サービス・製品の設計・改良に取り入れることで、より顧客満足度を向上させることや新規事業の創出に繋がることも考えられます。下記は研究の概要の抜粋です。

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こころの健康は人々の幸福と社会の発展に不可欠であるが、こころの病は年々増加している。超高齢少子社会では、多様な世代や立場でこころの問題が生じるが、その問題解決のための目標や対策は不明である。本研究プロジェクトでは、多様な世代や立場の人々のこころの健康を増進することを目的とし、社会におけるこころの健康を形作る「こころの多様性・共感性・社会性」「ストレス・レジリエンスと生活習慣・環境」「こころの発達と老化」について文理融合研究を推進する。脳機能や身体機能といった客観的指標に着目し、心理学、社会科学と連携して、こころの諸問題を一元的に理解する研究体制を構築する。その結果、こころの健康と破綻の原理を解明し、脳・身体機能に着目したこころの働きの客観的指標、さらに社会科学と連動したこころの問題の多次元評価尺度を開発する。この評価尺度を用いて、地域保健指導、看護・介護・リハビリテーション、ICTによる自己理解・制御支援、環境整備といった社会的介入を開発し社会に提言し、製薬企業、食品製造業、健康機器メーカーなどとの共同研究によりこころの健康を増進する技術や製品を創出する。この戦略により、社会全体のこころの諸問題を包括した処方箋を開発することを目指すとともに、次世代の文理融合研究の担い手を育成する。

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■滋賀大学 データサイエンス学部

出典:https://www.shiga-u.ac.jp/information/organization-management/president/info_president-massage/info_msg20170724/

 

滋賀大学はデータサイエンスが有名ですが、もともとは教育学部と経済学部の2学部で構成されており、データサイエンス学部が加わったという流れで、文系大学に理系要素が追加されたという珍しい経緯です。文理融合の代表的な成功例と言えるかもしれません。下記に抜粋します。

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教育学部と経済学部の二学部で構成されていました。両学部は、一方は滋賀県を中心に優秀な教師を輩出し、他方は、近江商人の流れを汲んで、日本に世界に活躍する経済人を育ててきました。今年度からは、その長く優れた伝統の上に、新たに理系の要素を持つ、日本で初めてのデータサイエンス学部が加わりました。また教育学部にも、教育方法や学校経営に高度な能力を発揮する教員を育成するための教職大学院(高度教育実践専攻)が発足しました。

特にデータサイエンス学部は、日本の発展に不可欠の人材育成に取り組みます。今や社会生活のあらゆる場で数字、文字、音声、映像など多様で大量のデータが生まれ、集積されています。それを一つの小さな単位から、地域、日本、アジア、世界とつないでいくと、とてつもないデータが集まります。それらを解析すれば、それが予想しなかった新しい価値を創造し、様々な課題を解決していきます。こうした課題解決のための最適な意思決定とそれによる新たな価値創造のできる「データサイエンティスト」の育成は、我が国の喫緊の課題です。滋賀大学はこの分野にチャレンジしているのです。

しかし、価値創造のためには社会の様々な分野の知識や理解が必要で、人文社会系的な思考と能力も重要です。そこで大学全体として、教育・経済両学部とも協力し、また外部の大学や研究機関、企業や自治体とも連携して、文理融合型の教育体制を構築します。データに基づく未来教育のできる教師やデータの分かるエコノミストも育っていきます。

他方で、現代は日常のあらゆることが世界とつながっています。そこで、滋賀大学の学生諸君には、地域に根ざしながら、グローバルな視点と思考を身に付けてほしいのです。そのため、今年度から、英語をネットでいつでもどこでも自学自習できるシステムを導入し、また経済学部では英語による専門科目の授業を増します。キャンパスのどこででも英語の世界が展開できる環境を目指すのです。

学生諸君が、データサイエンス、教育、経済それぞれの分野で、地域に、日本に貢献しつつ、世界に飛躍することを期待しています。

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また、文理融合ワークショップについて取り組んだ実績もあります。

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滋賀大学では、全学プロジェクト「超スマート社会における〈文理融合〉と〈科学方法論〉についての探究」の一環として、データサイエンス教育研究センターとの共催により、「文理融合とは何か」について内省し、データサイエンス学部設置後の全学教養教育の在り方を模索することを目的として「文理融合ワークショップ」を2019年10月から5回にわたり開催しました。以下その実施報告をいたします。(経済学部 吉川英治)

 

第1回:

(講師)京都大学文学研究科(哲学専修)、理化学研究所革新知能統合研究センター因果推論チーム 大塚淳氏

(テーマ)自然種の表現としての数理・因果モデル

 

第2回:

(講師)同志社大学脳科学研究科(元京都大学文学研究科) 櫻井芳雄氏

(テーマ)心を知るために神経細胞の活動を記録する-文魂理才の脳研究

 

第3回:

(講師)名古屋大学大学院情報学研究科 久木田水生氏

(テーマ)麦とツイッター:コミュニケーションの哲学と倫理

 

第4回:

(講師)国立環境研究所 林岳彦氏

(テーマ)“因果推論駅”の奥の方を探訪しながら考える-われわれの諸研究は内的に/外的にどのような繋がりを持っているのか

 

第5回:

(講師)大阪学院大学 喜田昌樹氏

(テーマ)経営学でのテキストマイニングの利用

 

出典:滋賀大学ホームページ 文理融合探究ワークショップ(5回シリーズ)開催報告

文理融合探究ワークショップ(5回シリーズ)開催報告

 

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■東北大学 未来型医療創造卓越大学院プログラム

出典:未来型医療創造卓越大学院プログラムホームページ https://www.fmhc.tohoku.ac.jp

出典:卓越大学院プログラム 平成30年度プログラム実施状況報告書

https://www.jsps.go.jp/j-takuetsu-pro/data/saitaku/h30/h30takuetsu_h30jisshi2.pdf

 

東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラムでは、未来の医療をより優れたものへと変革する人材の育成を目指しています。データ(Data)と技術(Technology)を駆使して未来の社会(Society)の課題解決に取り組み、超高齢社会である東北地方、日本そして世界の医療・福祉の理想を求めて活動を続けています。下記は、実施状況報告書の抜粋ですが、分離融合を基盤としていることが大きな特徴です。

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1.プログラムの目的・大学の改革構想

我が国は超高齢少子化社会を迎え、健康や医療に対する社会のニーズは急速に転換しつつある。超高齢少子化社会が求める未来型医療を担う卓越人材には、医学に加え経済学・心理学などの文理融合の発想を基盤に、医療やヘルスケアの新たな価値やシステムを想像し創造できるコンピテンシーが求められる。ビッグデータやAIと人間が調和した社会Society 5.0における医療を実現するために、東北大学はビッグデータに精通した医療関連人材の育成、高齢者医療・社会に必要とされる医薬品や医療機器の開発、高齢者に優しい医療・福祉提供システムの構築を三位一体で推し進めている。
本プログラムでは、これらの知的基盤をもとに、東北大学が提唱する未来型医療 “Future Medicine supported by Data Science, Technology and Society (DTS)”(データ科学・技術・社会インフラにより健康・予防・治療を実現する医療)を牽引し、高齢者が自立して健康で幸福に生きることができる効率的で優しい社会づくりに貢献する人材を育成する。

 

2.プログラムの進捗状況

 本プログラムの最大の特色は、超高齢少子化社会からの課題の抽出と解決を基盤にしたバックキャスト型研修とビルドアップ研修を含む文理融合カ リキュラムである。バックキャスト型研修は、地域に潜在する諸問題を起点として研究課題を探索する研修である。医療系学生に加え、工学、情報科 学、経済学、心理学などの学生と、熟練したファシリテーター教員で構成される研修グループが、ToMMo、CRIETO、MMWINで繋がる地域フィールドにお いて研修を行う。ビルドアップ研修では、自らの研究成果の妥当性や有用性について徹底検証する。研修先は、地域社会のみならず海外連携先や企業 など、研究内容と学生のニーズにマッチした選択肢を用意する計画を立てている。 また、超高齢化社会の問題に取り組んでいる世界的な研究者に加えて、高齢者の健康維持に先鋭的に取り組む企業や行政関係者が参加する。学生は アカデミアの視点に加えて、様々な問題意識や解決手法に触れることで高い俯瞰力や応用力を身につけるさせることを計画している。さらに、海外有数の研究機関との連携によって国際的視野から諸問題を解決する能力が涵養される。
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■文理融合から文理芸融合への展開可能性

文理融合自体は、実は昔から話題に挙がっていたものの、浸透が進んできたのは近年の話です。文系の領域の話が入りやすいデザイン思考やそれに基づくアイディアソンが企業活動で一般に使用されてきたことも大きな要因と考えられます。一方で別のアプローチとしてアート思考があります。常識にとらわれないアートからのアプローチによって物事を捉え、ときに見直すことで、思わぬ解決策や新たな道が開くこと、また、そこまでいかないまでも、幅広くアートの知識を得ることで、これまでと違う見方で社会の状況や人間の内面の変化について、学ぶことができるはずと下記の記事で紹介されています。

出典:仕事のデキる人が「アート思考」を学ぶべき理由 https://president.jp/articles/-/30871

 

アート思考は他にも様々な記事で取り上げられ、活発に議論がなされていますが、本質的にはフォーキャスト型だけでなく、未来社会を見据えたバックキャスティング型のサービスを作り上げることが政策的にも重要視されていく上で、アート思考は重要性を増していくと考えられます。そのうえで、ゆくゆくは文理芸融合の取組が増えていく可能性を秘めています。