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なぜなに産学官連携

産学官連携人材(URA、産学官連携コーディネータ等)に関わる事業・制度の歴史

産学官連携人材制度は昔から様々な事業が実施されてきました。新しい事業が運営されるたびに様々な成功・失敗の気づきがあり、産学官連携人材間の全国的ネットワークづくりを図る基盤的組織体制や、コーディネータの表彰制度などもありました。人材の出入りが激しい業界だからこそ、その歴史から得る教訓は今後の産学官連携人材の活動にも活かされるべきものと考えられます。下記に主だった産学官連携人材制度をご紹介します。ご参考くださいませ。

 

■オープンイノベーション機構の整備事業

平成30年度から開始した、企業の事業戦略に深く関わる大型共同研究を推進するため、大学の経営トップによるリーダーシップの下で、プロフェッショナル人材による集中的マネジメント体制を構築し、部局を超えて優れた研究者チームの組織化を図る大学の取組を支援する事業です。これにより、「組織」対「組織」による本格的産学連携の実現を図り、ひいては2025年までに企業から大学等への投資を3倍増とすることを目指しています。「クリエイティブ・マネージャー」などの役職で研究開発マネジメントのプロフェッショナル人材を雇用・学内で活躍を図るという観点で、産学官連携人材に関わる新規事業と言えます。

※文部科学省ホームページ

http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/openinnovation/index.htm

 

 

この事業で鍵になるのは、組織的な産学官連携の実施と、それを担うクリエイティブ・マネージャーとなりますが、その分析レポートが下記で公開されています。関係者の方は必見です。

 

※組織的な産学官連携を行う上での 問題点とその背景要因:産学官の有識者による自己診断とそこから得られる示唆

科学技術・学術基盤調査研究室 研究員 村上 昭義

https://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-STIH4-4-00157.pdf

 

最低限把握すべきデータは39-40ページの「2. 大学・公的研究機関が認識する自らの問題点とその背景要因」です。下記に抜粋しますが、多くは昔からの産学官連携コーディネータの人材像検討と同じ内容になっています。ただ、組織対組織という括りになると、「ベストメンバー候補者は既に多くのプロジェクトを抱えていることが多く、組織的な連携に参画できる余力がない」、「大学の研究者は個人の知的好奇心によっ て研究を行っているため、トップダウンによる研究体制の構築になじまない」は新しく表面化してきた課題要素と言え、現場経験者の意見からするとまさしくその通りなので、制度的な大幅な見直しが必要かもしれません。また、「①連携への理解」では「連携ありきでその目的や効果が二の次になっている」が挙げられており、弊社がサービス提供する上でもこの部分の企画・プランニングを企業・大学研究者と相談しながら十分に行うことが価値であると捉えて取り組んでいますが、特に共同研究の規模が大型化しビジョンのすり合わせの必要性が増した際には、一層重要となるでしょう。

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1 位として選択された問題点の背景要因に関する 自由記述を図表 2 にまとめる。

「⑦企画提案力」につ いては「企業ニーズを把握する体制になっておらず、 スタッフ及び活動資金が不足している」、

「企業側の実情を知らない(企業のスピード感、利益感覚、意思 決定システムへの理解が不足している)」、

「複数教員を束ねて大きなプロジェクトを提案するような取組が不足している」などが論点として抽出された。

「③ 組織的な管理体制」では「事務方でもプロフェッショ ナル人材の育成が必要であり、企業と交渉・調整を専門に行う人材が不足している」、

「大型かつ組織的な産学官連携を進めるにも、大学の資源・人材・施設利用が十分に動員できる環境にない」、

「企業とのふだんのコミュニケーションが不足している」などの論点が示された。

「④組織的な研究体制」では「ベストメンバー候補者は既に多くのプロジェクトを抱えていることが多く、組織的な連携に参画できる余力 がない」、

「大学の研究者は個人の知的好奇心によっ て研究を行っているため、トップダウンによる研究体制の構築になじまない」、

「研究者の研究動機を刺激するような制度設計になっていない」などの論点が示された。

また、「①連携への理解」では「連携ありきでその目的や効果が二の次になっている」などの論点が示され、「②連携への評価」では「産学連携業務に関わる評価が学術論文と比較して低い」など の論点が示された。

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また、企業側の課題も収集・分析されているので、全体的に読みごたえがあるレポートとなっています。

 

■研究大学強化促進事業

世界水準の優れた研究活動を行う大学群を増強し、我が国全体の研究力の強化を図るため、大学等による、研究マネジメント人材群の確保や集中的な研究環境改革等の研究力強化の取組を支援することを目的として平成25年度から開始されました。10年間の期間で平成25年度に27機関が採択されました。本事業の採択機関では多くのURA(リサーチ・アドミニストレータ―)が雇用され、活動しています。日本の産学官連携人材制度の代表的な事業の一つです。 ※下記は文部科学省ホームページ

http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/sokushinhi/

 

■リサーチ・アドミニストレータ―を育成・確保するシステムの整備

2010年・2011年に公募がなされました。日本のURA制度に関わる先駆け的事業です。15機関が採択されました。 ※下記は文部科学省ホームページ

http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/ura/

http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/ura/detail/1315871.htm

 

それ以前の産学官連携コーディネータ関連の制度は任期付きの事業であることがほとんどであり、事業終了とともに退職してしまうケースが問題視されており(大学等自主経費での継続を断念)、URAについても同様の懸念は業界内で付きまとっていました。それを受けてか、本事業では、公募要領に下記記載があることが特徴です(上記URL内の公募要領から抜粋)。

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・ 大学等の中長期的な構想における研究推進体制の高度化・効率化に向けた将来構想を踏まえたURA組織体制(全体)の整備構想(URAの業務は多岐に渡りますが、大学等のURA組織体制の整備構想については、特定の業務に重点化を図ったものとすることも可能です。)
・ URA組織体制(全体)の整備構想とそのうち補助事業によるURA組織体制の整備構想(「応募時点における事業実施計画(初年度~3年度目分)」期間中に大学等の自主経費で独自にURAを雇用する計画についても併せて説明いただきます。)
・ 補助事業によるURA組織体制の整備構想に関する、補助事業期間終了後の構想(大学等の独自経費による継続実施の説明を含む。)
・ URAとして雇用する者をどのような職務に従事させるかの構想
・ URAの雇用計画(URAとして雇用する人材の具体像が定まっている場合には、その説明を含めて差し支えありません。)、キャリアパスに関する構想

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■国立研究開発法人産業技術総合開発機構 産業技術フェローシップ事業(NEDOフェロー)/NEDO産業技術コンダクター

2000年から10年にわたって公募されました。多くの若手の産学官連携人材が採択され、採択後はNEDOで雇用・大学等が受入機関となり、受入機関にて産学官連携コーディネート業務などを担っていました。 ※下記はNEDOホームページ

https://www.nedo.go.jp/activities/CA_00188.html

https://www.nedo.go.jp/activities/CA_00394.html

 

NEDO産業技術コンダクターは、1年限りの募集でしたが、6名の人材が雇用され、関西支部・九州支部・北海道支部の3名のイノベーション・オフィサーと連携しながら全国の企業や大学等研究機関を対象とした有望なシーズの発掘・支援を行っていました。 ※下記は関東経済産業局ホームページ

http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/gizyutsu/kagakusinko/data/22fy_shiryou16.pdf

 

弊社では現在もNEDOフェロー経験者3名・NEDO産業技術コンダクター経験者1名が業務を行っており、他大学でもNEDOフェロー経験者がURAなどで活躍するケースも多く、有益な制度でした。

 

■文部科学省 産学官連携コーディネーター、他

「産学官連携戦略展開事業(コーディネートプログラム)」事業として2001年から産学官連携コーディネーターの大学等での雇用・活躍促進を目的に展開されました。事業概要と活動事例は下記文部科学省ホームページから閲覧できます。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1282021.htm

文部科学省では他にも「産学官連携支援事業 全国コーディネート活動ネットワーク」として産学官連携人材間の全国的な人的ネットワークを作るためのデータベース化や各地でのシンポジウム開催、ホームページやメールマガジン等での情報流などを行っていました。また、主だった事業としては「知的クラスター創成事業」(2003年開始)では各地域の公的研究機関等を核とした産業活性化を目指し、独自の研究開発テーマの設定・推進や地域ネットワーク化が図られ、その本部では産学官連携人材が雇用され活躍していました。「都市エリア産学官連携促進事業」(2005年開始)においても大学等のシーズを核にした地域の産学官連携を推進することを目的とした事業が展開されました。2003年には「大学知的財産本部整備事業」が開始され、各大学に知的財産本部が相次いで設置され、学内の発明の発掘・承継・権利化・管理などを行う産学官連携人材が雇用されました。

 

・知的クラスター創生事業 ※文部科学省

http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/chiiki/cluster/1403094.htm

 

・都市エリア産学官連携促進事業 ※文部科学省

http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/chiiki/city_area/1403095.htm

 

・大学知的財産本部整備事業 ※文部科学省

http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/08081104.htm

 

 

■特許庁 特許流通アドバイザー

特許流通促進事業の一環として、1997年から2010年まで実施されました。特許流通促進事業は、特許の流通を通じた技術移転・新規事業の創出を促進することを目的とし、特許流通アドバイザー等による特許流通の促進、特許流通データベースの整備等による開放特許情報等の提供、セミナーや研修等による知的財産権取引業者の育成支援等を総合的に行っていました。特許流通アドバイザーは、大学等研究機関などに派遣され、その組織が有する知的財産権を産業界へ流通させるべく技術移転活動などを行っていました。

 

・特許流通アドバイザー ※独立行政法人工業所有権情報・研修館ホームページ

http://www.inpit.go.jp/katsuyo/archives/archives00020.html

 

具体的な活動は下記が参考となります。8ページから12ページに活動内容と成果が記述されています。

 

 

・日本の特許流通促進 ※特許庁・(社)発明協会アジア太平洋工業所有権センター 作成

https://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/training/textbook/pdf/Promotion_of_Patent_Licensing_in_Japan_(2009)(jp).pdf

 

なお、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)ではその後も知的財産プロデューサー派遣事業・産学連携知的財産アドバイザー派遣事業などを行っています。

 

・知的財産プロデューサー派遣事業

http://www.inpit.go.jp/katsuyo/ippd/index.html

 

※大型の公的資金が投入され、革新的技術の研究開発を行う“産学官連携型”の研究開発プロジェクトを推進している大学または研究開発機関に、 企業等において豊富な実務経験をもつ知的財産プロデューサーを派遣し、事業化出口を目指す知的財産戦略の策定や各種知財活動等をサポートする制度です。

 

・産学連携知的財産アドバイザー派遣事業

http://www.inpit.go.jp/katsuyo/uicad/index.html

 

※地方創生に資する大学等の活動を促進するため、 地域の中堅・中小企業等との連携や大学発スタートアップの創業等の産学連携・知財活動を展開する大学に知的財産の専門家である産学連携知的財産アドバイザーを派遣し、 事業化を目指すプロジェクトの知的財産マネジメントを支援する制度です。

 

 

【産学官連携に関わるネットワーク会議・表彰制度等】

 

■全国産学官連携推進会議

全国の産学官連携業界の従事者を中心とした会議として開催されていました。2002年から開始し、第9回までは国立京都国際会館で開催されていました。業界内では「京都会議」と呼ばれることが多く、産学官連携に関わる業界関係者が一同に集まり、展示や議論を行っていました。国立大学法人化や大学知的財産本部整備事業の立ち上げも相次いだ時期なので、業界内のネットワークづくり・情報交換の場として機能していました。第9回目は科学・技術フェスタ in 京都 として、高校生向けのシンポジウムや科学実験教室などの企画が組み込まれて開催されました。第10回目以降は東京国際フォーラムにてイノベーション・ジャパンと併設して開催されました。

 

下記は第7回産学官連携推進会議のホームページです。

https://www8.cao.go.jp/cstp/sangakukan/sangakukan2008/g_info.html

 

開催レポートとしては例えば下記が参考となります。

 

・産学官の道しるべ 第7回産学官連携推進会議 地域拠点の「エコシステム」を提示(2008年7月)

https://sangakukan.jst.go.jp/journal/journal_contents/2008/07/articles/0807-10/0807-10_article.html

 

なお、企業、大学、公的研究機関等の産学官連携活動において、大きな成果を収め、あるいは先導的な取組を行う等、産学官連携活動の推進に多大な貢献をした優れた成功事例に関し、その功績を称えることで我が国の産学官連携活動の更なる進展に寄与することを目的とした産学官連携功労者表彰は、「産学官連携推進会議」ないしは「イノベーションジャパン」内で2002年から行われていましたが、「日本オープンイノベーション大賞」に引き継がれています。

 

・産学官連携功労者表彰 ※内閣府

https://www8.cao.go.jp/cstp/sangakukan/index2.html

 

・日本オープンイノベーション大賞 ※内閣府

https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/index.html

 

■JST イノベーションコーディネータ表彰

産学官連携に関わるコーディネータの活動・実績に対して、その成果を客観的視点から表彰することにより、コーディネータのモチベーションを高めるとともに、コーディネート活動の重要性を社会にアピールすることで、コーディネータのより一層のステータス向上を目指し、JSTが主催して行われていた表彰コンテストです。平成21年度から平成26年度まで実施されていました。若手の産学官連携コーディネータが業界に入り、正規雇用され(当時も任期付きの非正規での人材募集が主流でした)、将来的に継続的な活躍を果たしていくためには、活動・スキルを認定する手法や表彰する文化・制度などが必要ではないかという話題は平成21年以前も業界内でよく議題に上っており、実現の折には全国的にも優れたコーディネート人材が応募・受賞されました。平成26年度には役目を終えましたが、このような背景・考え方はリサーチ・アドミニストレータ―の質保証に関わる認定制度の話題にも通じるところがあるかもしれません。なお、弊社でも2名が受賞しています。下記が受賞者リストです。

 

・平成26年度受賞者

https://www.jst.go.jp/pr/info/info1063/index.html

 

・平成25年度受賞者

https://www.jst.go.jp/pr/info/info991/index.html

 

・平成24年度受賞者

http://www.jst.go.jp/pr/info/info924/

 

・平成23年度受賞者

https://www.jst.go.jp/pr/info/info838/index.html

 

・平成22年度受賞者

https://www.jst.go.jp/pr/info/info747/index.html

 

・平成21年度受賞者

https://www.jst.go.jp/pr/info/info675/index.html