従来の溶着技術 従来技術の問題点 新技術「ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法」
「ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法」のしくみ 「ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法」の効果
従来の溶着技術
本コンソーシアムが取り扱う「ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法」とは、溶接現象において伝熱工学的手法を取り入れた画期的な溶着方法です。

従来の工法においては、熱板や熱風による溶着では、ビード処理やガス被毒の問題があり、工程の増加や作業者の熟練度を要するものでした。

また、レーザを導入した溶着法(主に半導体レーザを利用)が近年見られますが、「透過材+吸収材」の組合せを必要とするなど自由度のある工法ではなく、すべてのニーズに応えられるものとはなっていません。
従来技術の問題点
レーザ溶着において、特にオレフィン系樹脂・フッ素系樹脂に対しては、 従来の技術では樹脂によるレーザ吸収・溶融において、以下の問題点が存在していました。

1.レーザによる同一樹脂で無色半透明なオレフィン系樹脂・フッ素系樹脂の溶着は不可能です。

2.レーザでのフッ素系樹脂溶着では樹脂表面の熱損傷により有毒分解ガスが発生します。

3.フッ素系樹脂ならびにオレフィン系樹脂同士の接合に関して有効な接着剤は存在しません。

4.半導体レーザ溶着法も使用不可となります。
新技術「ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法」(新しいプラスチック溶着)
当コンソーシアムでは、先端レーザ樹脂溶着技術として、下記に記す「ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法」を応用・展開していくことを推進します。

1.レーザー光を透過し伝導率の高いヒートシンクを接触設置⇒樹脂表面の温度が降下し、溶着箇所だけ温度がより高く上がり溶着が可能となります。

2.1の効果により熱損傷は生じないので、発泡・ガスの発生は無く
生産環境の悪化を防ぐことが可能となりました。


特許番号:4279674

ヒートシンク無し

ヒートシンク有り

フッ素系樹脂(PFA)
フィルム溶着断面(t=0.5mm)
「ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法」のしくみ
様々な波長のレーザ( CO2レーザ、ファイバレーザ、COレーザ、Er.Yagレーザ等)と
組み合わせ可能な新しいレーザ加工法です。
  1.赤外線レーザーに吸収を示す2枚の樹脂部材を重ね合わせ、その上に「ヒートシンク」を設置します。
「ヒートシンク」は熱伝導がよく、かつ、レーザーを透過する性質を示すものです。
  2.「ヒートシンク」を置いた側からレーザーを照射します。レーザーは1層目の樹脂部材により吸収されて熱に変わり瞬時に周囲を溶融していきます。
この溶融領域が2つの樹脂部材の界面に達するまでレーザーのエネルギーを
投入します。
  3.1層目の樹脂部材の表面近くで発生した熱は、隣り合う「ヒートシンク」へ熱伝導により移動します。
これにより、継続的に高エネルギーのレーザー照射を受けても、樹脂部材表面の過熱が抑えられ損傷が発生せずに内部を溶融できます。
  4.部材平面の任意の軌跡にレーザーを走査させて部材を溶着していきます。
レーザーが移動した直後に溶融箇所は固化し、速やかな加工が可能です。
「ヒートシンク式レーザ樹脂溶着法」の効果
(フッ素樹脂、スーパーエンプラの接合等へ応用可能 )

「レーザ透過ヒートシンク」の効果により、樹脂部材の表面無損傷重ね合わせ溶着を実現しました。瞬間的に自己発熱できるレーザ加熱の利点を生かし、高融点素材の溶着に真価を発揮します。

※色素の添加なしに、同種のプラスチックを表面がきれいなまま溶着できます。
※フッ素樹脂、スーパーエンプラ等様々なプラスチック加工へ応用可能です。用可能 )

【溶着可能な樹脂材料の実績】
■ フッ素樹脂
PFA
FEP
PVDF
ETFE
PCTFE
PTFE
  ■ スーパーエンプラ
PES
PSF
PPS
PEEK
PEI
LCP

【ヒートシンク式レーザ樹脂溶着の特徴】
重ね合せ溶着において、上側の部材からレーザ吸収発熱し、深部へ溶融が広がっていき、界面を挟んで溶融一体化します。この際、レーザ照射面での余分な発熱を上部のヒートシンクが放熱するため、表面で過熱による損傷が起きません。「表面冷却・内部溶融」の実現です。

【内部溶融の実例】
溶着した部材断面を観察すると(偏光観察)、溶融痕が内部だけに有り、表面での溶融が見られないことが分かります。

【半導体・医療分野への応用】

半導体製造装置や医療機器には、高い耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性が求められます。樹脂部材としてそれらに応えられるのは主にフッ素樹脂です。また更に高いクリーン度を要求されるこの分野では、外部溶融をしないヒートシンク式レーザ樹脂溶着の効果を活用できます。
【応用例】
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