東洋大学 理工学部 応用化学科 教授

勝亦 徹

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飛沫防止「ついたて」の開発

▼飛沫防止「ついたて」の開発

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、さまざまな場所で飛沫防止を目的とした「ついたて」が使われています。さまざま材質、形状の「ついたて」が販売されていますが、大量の「ついたて」を必要とする場合に対応できる安価で、環境負荷が低く、リサイクル性の優れた「ついたて」の開発が必要と思われます。そこで、今回、PET樹脂製の薄板を使って「ついたて」の試作を行いました。
この「ついたて」には、ペットボトルにも使われているPET(ポリエチレンテレフタレート)製の1枚の薄板を使っています。1枚の薄い板を折り曲げて強度を持たせることにより、自立式の「ついたて」としています。この「ついたて」は、下記の特徴を持っています。説明会では、試作したPET製「ついたて」の作り方を説明します。

① リサイクルに適したPET樹脂を使用しています。
② PET樹脂は丈夫で可視光の透過が良いです。
③ 薄板を使っているため軽量・省資源です。
④ 使用する素材の量が少ないため安価に製作できます。
⑤ はさみなどを使った加工、曲げ加工、加熱による加工などが可能です。
⑥ 加工しやすいため製作や改良が容易です。
*実用新案 実願2020-003616

 

▼光散乱を使った食品の品質検査

果物、果汁、牛乳など液体と脂質や固体の粒子の混ざった食品は数多い。これらの食品の品質検査は、液体クロマトグラフィー(HPLC)などを用いて行われているが、測定には多くの前処理と長い検査時間を要する。光を使って簡便かつ迅速に検査する方法も数多く存在するが、強い光散乱体であるこれらの食品の光測定は困難である。

ここでは、㈱マツモト精密工業と共同で実施した、果物、果汁、牛乳などの食品からの光散乱を利用した品質検査技術について説明する。

【参考文献】

“Non-destructive evaluation of orange juice based on optical scattering intensities”, Toru Katsumataa, Hiroaki Aizawa, Shuji Komuro, Shigeo Ito, Takeshi Matsumoto, Optik 182 (2019) 1064–1073;
https://doi.org/10.1016/j.ijleo.2018.12.137

“Non-destructive evaluation of tomato based on optical scattering”, Toru Katsumata, Hiroaki Aizawa, Shuji Komuro, Shigeo Ito, and Takeshi Matsumoto, Rev. Sci. Instrum. 90, 043102 (2019);
https://doi.org/10.1063/1.5082869

“Quantitative analysis of fat and protein concentrations of milk based on fibre-optic evaluation of back scattering intensity”, Toru Katsumata, Hiroaki Aizawa, Shuji Komuro, Shigeo Ito, Takeshi Matsumoto, International Dairy Journal 109 (2020) 104743;
https://doi.org/10.1016/j.idairyj.2020.104743

“Optical scattering from tomato juice”, Toru Katsumata, Hiroaki Aizawa, Shuji Komuro, Shigeo Ito, Takeshi Matsumoto, Optik 199 (2019) 163128;
https://doi.org/10.1016/j.ijleo.2019.163128