鳥取大学 医学部 医学科社会医学講座 法医学分野 特任教員

藤本 秀子

  • その他

歯槽骨画像による個人識別ー死後CT画像を用いた自動鑑定ー

▼ 見つかった新しい事実
身元確認のための新しい個人識別法を開発した。身元不明者の口腔X線画像と、過去に歯科治療などで撮影した口腔X線画像の歯槽骨形状を比較して、歯槽骨形状の類似度から個人を識別する。歯槽骨画像は、指紋、DNA、歯科所見では識別困難な身元不明者でも個人識別を可能とする。

▼ その事実による社会へのインパクト
歯槽骨画像による個人識別はさまざまな条件下の死体に対しても識別能力を示すので、これまで個人識別がむずかしかった物理的あるいは経時的に損傷が激しい死体でも精度よく識別できるようになる。行方不明者の個人識別のニーズが高まっているが、指紋もDNAも歯科所見も個人識別に役立たない死体が増えてきているので、歯槽骨画像による個人識別の有用性は高い。

▼ 社会実装・製品展開
行方不明者の歯科治療などで撮影した口腔X線画像から得られた歯槽骨の歯槽頂と歯槽底の位置座標(ランドマーク)のデータベースが構築されれば、身元不明者の個人識別が迅速に行えるようになる。2020年4月1日に施行された死因究明等推進基本法でも身元確認のための死体の科学調査の充実及び身元確認に係るデータベースの整備(第16条)が規定されており、画像を活用した身元確認のデータベースの整備が期待できる。
また、データベース内の多数の行方不明者の歯槽骨画像の歯槽頂と歯槽底の位置座標(ランドマーク)と身元不明者のものを高速・高性能で照合するランドマーク位置座標比較の自動化システムの開発と事業化に対する企業の参画を期待する。

▼ 概念図

図1 歯槽骨画像による個人識別の原理

1)歯槽頂と歯槽底をランドマークとして使用する
2)ランドマークの位置座標を計測する
3)6分割した各部位で対象と対照のランドマーク座標間の距離を計算する
4)計算した距離から対象と対照が同一人である可能性を判定する